2020 Fiscal Year Research-status Report
ミクロマクロ現象同時制御による超音波処理スケールアップ指針の確立
Project/Area Number |
20K15079
|
Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
山本 卓也 東北大学, 工学研究科, 助教 (10804172)
|
Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2022-03-31
|
Keywords | 超音波 / 音響キャビテーション / スケールアップ / マルチフェーズシミュレーション |
Outline of Annual Research Achievements |
液体中へ超音波を照射すると、音響キャビテーションが発生し、キャビテーション気泡の非線形振動、圧縮、崩壊現象が生じ、それに伴うラジカルの生成に加えて液体ジェットの発生等複雑な現象が発生する。この超音波処理中ではキャビテーションが生成するため、例えば、音響キャビテーションによる洗浄効果や、音響流による物質移動促進、キャビテーション気泡運動とキャピラリー波によって引き起こされる超音波霧化、キャビテーション気泡振動によって生じたラジカルによる有機物分解、ラジカルによる特異的な化学反応、ナノ粒子合成と等の無機物合成等を引き起こすことができる。このように超音波照射によってのみ引き起こすことのできる多種の効果がある一方で、この超音波処理には大きな問題点が指摘されている。超音波によってキャビテーションを生成し、各種効果を得ることができるが、そのキャビテーション気泡が理由で超音波が散乱するため、スケールアップが困難である。超音波処理におけるスケールアップ指針を構築するためには、キャビテーションを発生させるものの、音波が散乱しにくい条件を探索する必要がある。超音波処理におけるスケールアップ指針を構築するため、本研究では、複合スケールに渡る現象を表現する数値モデルを開発し、それを利用した数値解析を行うことで、超音波の散乱しにくい条件を導出する。さらに、その条件に対して有機物分解実験を行い、有機物分解効率という指標を利用して、反応効率を評価する。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
気泡運動と超音波の伝搬、流動までを加味した”マルチスケール”数値モデルを開発、利用し、超音波を制御することで音波減衰の大きい条件を導出することに成功した。加えて、外部流動の影響も調査したが、超音波照射によって発生するマクロスケールの音響流を打ち消すほど大きな外部流動を与えることで、反応容器内物質移動が向上することで、反応効率が増大した。これは、乱流拡散と外部流動による物質移流効果によって引き起こされたと考えられる。このように、開発した数値モデルを利用することで、超音波処理時の反応効率向上に成功しており、概ね順調に研究進捗していると言える。
|
Strategy for Future Research Activity |
今後は、超音波反応効率を増大させるため、気泡運動の点から反応領域を増大させることに挑戦する。超音波処理では、液中に超音波を照射することでキャビテーションが生成し、そのキャビテーションによって様々な効果が得られる。しかしながら、このキャビテーションによって超音波が減衰、散乱するため、反応領域が狭まる。そこで、微小スケールのキャビテーション気泡運動において音波散乱が小さい条件を探索し、超音波散乱が少ない条件を見出し、反応効率を増大する条件を見出す。
|
Research Products
(4 results)