2021 Fiscal Year Annual Research Report
ベシクルによる有機反応制御:位置選択性・立体選択性を有する溶媒としての自己集合体
Project/Area Number |
20K15082
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Research Institution | Nara National College of Technology |
Principal Investigator |
林 啓太 奈良工業高等専門学校, 物質化学工学科, 准教授 (10710783)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 自己集合体 / 反応場 / エポキシ化 |
Outline of Annual Research Achievements |
2020年度では,pyreneにジカルボン酸であるコハク酸,スベリン酸,ドデカン二酸を付加したPy-C3-COOH,Py-C7-COOH,Py-C11-COOHを用いてミセルやベシクルといった自己集合体の疎水領域における階層的疎水性評価を行った.その結果,自己集合体界面では親水性が高く,疎水領域中心部では疎水性が高いことが明らかとなった. 2021年度では,この特性を応用して分子の局在化について検討した.親水性の高い分子は界面近傍に,疎水性の高い分子は疎水領域中心部に局在することが予想される.TEMPOは近接する蛍光団の蛍光を消光する.様々なTEMPO誘導体を各pyrene誘導体含有自己集合体に添加した.その結果,ヒドロキシ基など親水性の高いTEMPO誘導体ではPy-C3-COOHの蛍光を,4-PhCO2-TEMPOではPy-C11-COOHの蛍光が消光された.この結果から,分子の構造や官能基によって封入する分子の局在性が制御できることが明らかとなった. この特性を応用して,位置選択的エポキシ化反応を検討した.反応物質として過酸化水素とネロール,ゲラニオールを用いた.ネロールとゲラニオールはシス-トランス異性体である.そのため,立体的な構造が異なり,ネロールは折れ曲がった構造であるのに対し,ゲラニオールは直線的な構造である.つまり,過酸化水素を酸化剤として用いる場合,過酸化水素は自己集合体界面に局在すると考えられるため,ネロールとゲラニオールがそれぞれヒドロキシ基を自己集合体界面に局在させた状態で自己集合体内に存在すると,ネロールでは2つの反応部位がエポキシ化されてしまうが,ゲラニオールでは自己集合体界面近傍に存在する反応部位のみが選択的にエポキシ化されると考えられる.しかし実際には,選択性は確認されなかった.
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Research Products
(3 results)