2020 Fiscal Year Research-status Report
Design principle of metal oxides as electrocatalysts for alkaline water splitting based on machine learning and construction of durable water electrolyzer cell systems
Project/Area Number |
20K15087
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
菅原 勇貴 東京工業大学, 科学技術創成研究院, 助教 (10814791)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | アルカリ水電解 / 電気化学触媒 / 機械学習 / 密度汎関数理論 / 酸素発生反応 / 金属酸化物 / 金属リン酸化物 |
Outline of Annual Research Achievements |
令和2年度は新型コロナウイルス感染症の拡大により大学に出校しての研究活動が大幅に制限され、実験による研究の推進が極めて非効率な状況となったため、在宅での実施も可能な機械学習による活性予測・解析およびDFT計算による理論計算分析に集中して取り組むこととした。 まず機械学習を用いて水電解アノードの酸素発生反応(OER)用の金属複合酸化物触媒を解析した。既報の論文から190種類の複合酸化物OER触媒のOER過電圧の測定結果を手作業で抽出し、また各材料の結晶構造情報を無機結晶構造データベースから取得した。そして結晶構造のパラメータ18種類を説明変数としてデータセットに加え、OER過電圧を目的変数として様々な回帰モデルで解析した。結果、金属と酸素間の結合長がOER活性に強く影響することが示された。 次に金属リン酸化物についても機械学習により検討した。既報の金属リン酸化物60種類について同様にデータを収集した。そして構造パラメータに加え、DFT計算により求めた電子的パラメータも説明変数として加えた。結果、酸素とリンの原子間距離がOER活性と最も相関性が高いことが示された。以上のように本研究課題では触媒の設計のための重要な知見が得られた。 さらに触媒材料の合成条件の最適化も行った。触媒の導電性担体であるニッケルフォーム上での触媒成長には主に水熱法が用いられるが、温度や原料濃度などの条件を実験で試行錯誤的に最適化するのでは時間を要する。そこで、機械学習のベイズ最適化により条件を最適化した。プラセオジムと鉄を含む化合物を目的の触媒とし、ニッケルフォーム上で触媒を水熱法で成長させている既報の論文17報から実験条件を抽出した。そして成長した触媒のOER活性が高くなる実験条件の組み合わせをベイズ最適化で求めた。最適化された当実験条件により、触媒作製を迅速に実施できると期待される。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
新型コロナウイルス感染症により令和2年度は実験による研究課題の推進はできなかったが、その代わりに機械学習とDFT計算による検討を集中して行うことで高活性水電解触媒の設計に活用可能な知見が多く得られた。それにより令和3年度以降の実験による研究課題の推進を効率的に進めることが可能となったため、順調に進展していると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
令和3年度は、前年度の機械学習とDFT計算によりスクリーニングした水電解用触媒材料を実際に合成し触媒活性評価を行う。合成した材料に関して、X線回折、元素分析、走査型電子顕微鏡、透過型電子顕微鏡、比表面積測定などで構造・粒子形状・元素組成などを評価する。そして合成した材料の水電解反応活性をポテンショスタットと回転ディスク電極を用いた電気化学測定により評価し、機械学習とDFT計算に基づいた触媒材料開発の有用性を実証する。また、水電解の高電位下において高い耐久性を有する触媒担体の開発も行う。
令和4年度は、令和3年度までに開発した水電解用触媒材料および高耐久担体を用いて水電解試験を実施する。アニオン交換膜に開発した触媒材料を塗布し、水電解用MEAを作製する。そしてアルカリ水電解セル試験装置により水電解用MEAのセル性能を評価する。さらに長時間運転時の耐久性も評価する。
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Causes of Carryover |
令和2年度は新型コロナウイルス感染症により、学外会議および学会の中止・オンライン化で旅費の支出が無くなった。また流行の拡大により大学に出勤しての研究活動が大幅に制限され、実験による研究の推進が極めて非効率な状況となったため、在宅での実施も可能な機械学習アルゴリズムによる活性予測・解析およびDFT計算による理論計算分析とに集中して取り組むこととした。以上のことから当初予定に比較し諸々経費の変化が発生した。令和3年度からは大学に出校しての実験に注力できると考えられ、水電解触媒の電極反応活性の評価実験をより効率的に進める必要が生じた。そのため、回転電極装置を購入し所有することで、触媒材料の開発をより効率的に遂行できることが期待される。
令和3年度は、前年度の機械学習とDFT計算により推定した水電解用触媒の候補材料を実際に合成し触媒活性評価を行う。合成した材料に関して、XRD, ICP, SEM, TEM, BET, EDXなどで構造・粒子形状・元素組成などを評価する。合成した材料の水電解の電極反応活性をポテンショスタットと回転ディスク電極により評価し、機械学習とDFT計算を活用した本提案の有用性を実証する。
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Research Products
(1 results)