2021 Fiscal Year Research-status Report
Design principle of metal oxides as electrocatalysts for alkaline water splitting based on machine learning and construction of durable water electrolyzer cell systems
Project/Area Number |
20K15087
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
菅原 勇貴 東京工業大学, 科学技術創成研究院, 助教 (10814791)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | アルカリ水電解 / 電気化学触媒 / 機械学習 / 密度汎関数理論 / 酸素発生反応 / 金属酸化物 / 構造因子 / Fe―O結合長 |
Outline of Annual Research Achievements |
令和3年度は、令和2年度に実施した機械学習とDFT計算により得られた知見により高活性な卑金属触媒の開発、および触媒と結晶構造の間に眠る未知の法則の解明に取り組んだ。 まず水電解アノードの酸素発生反応(OER)用触媒の結晶構造の制御による高活性化を目指した。大きな金属-金属配位数から高いOER活性が期待されるレイヤー型コバルト-マンガン複合酸化物をグラフェン担体上で直接成長させ微粒子化することで、既報の遷移金属二元酸化物の中で最高の触媒活性を発揮させた。(Chem. Commun., 57, 9052-9055, 2021. Inside Back Coverに採用) 次に、安価な卑金属である鉄に着目し、鉄系酸化物のOER活性を決定する結晶構造の因子の解明を行った。実験および機械学習による回帰分析の結果、構造パラメータのうちFe-O結合長がOER活性に対する最重要因子であることを見出し、Fe-O結合長が短いほどOER活性が向上するという、OER活性に関する未知の法則を発見した。またこの法則は触媒材料の元素組成と鉄の価数に無関係であることを明らかにした。さらに、当法則は、Perovskite, Spinel, Brownmillerite, Stuffed Tridymite, M-type Hexaferrite, Ruddlesden-Popper型を含む多様な構造カテゴリーの鉄系複合酸化物に適用可能であることも示した。(ChemElectroChem, 9, e202101679, 2022. Front Coverに採用、Cover Profileで紹介) 以上のように、Fe-O結合長というバルクの結晶構造のパラメータによって触媒粒子表面で進行する反応の活性を記述可能であることを明らかにし、水電解電極反応の触媒作用に関する新規な法則を提案した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
令和2年度に集中して実施した機械学習とDFT計算により得られた触媒の設計指針を用いることで、令和3年度は当研究課題を実験により大幅に進展させることができた。第一に、水電解アノードの酸素発生反応に対する触媒活性が既報の遷移金属二元酸化物の中で最高値であるレイヤー構造のコバルト-マンガン酸化物/グラフェンハイブリッド触媒の開発に成功した。第二に、Fe-O結合長というこれまで未知であった鉄系酸化物のOER活性の指標を提案するに至り、安価で高性能な水電解用触媒の開発に大きく貢献する成果が得られた。 そのため当初の計画以上に進展していると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
令和3年度の研究の遂行により、水電解反応の触媒活性における結晶構造の効果という、従来考えられてきた定説とは全く異なることを新たに見出した。結晶構造と触媒作用の関係については、鉄に限らず他の遷移金属にも何らかの法則が存在すると推測され、鉄以外の卑金属触媒の構造と触媒活性の間に存在する法則の解明が重要な研究課題であると考えた。よって触媒作用の基礎研究に注力した研究を推進するべきだと判断した。 そこで令和4年度は、当初の計画を変更し、結晶構造の観点からの水電解用触媒の設計論を鉄以外のニッケル、コバルト、マンガンなどの卑金属からなる酸化物触媒へと展開する。さらに金属酸化物のみならず、金属リン酸化物、金属リン化物、金属硫化物などの化合物群にも展開する。
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Research Products
(8 results)