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2020 Fiscal Year Research-status Report

マイクロ流路による時計組織工学の創成

Research Project

Project/Area Number 20K15099
Research InstitutionKyoto University

Principal Investigator

今村 聡  京都大学, 高等研究院, 特定研究員 (30846689)

Project Period (FY) 2020-04-01 – 2022-03-31
Keywordsマイクロ流体デバイス / 肝細胞分化 / 時計遺伝子
Outline of Annual Research Achievements

創薬において初代培養肝細胞の代替として期待されているヒト多能性幹細胞由来肝細胞(hPSC-Hep)は、未熟な状態であり機能の発揮が不十分である。近年、生体内の肝臓において体内時計を司る時計遺伝子による薬物代謝調節機構が明らかとなり、その重要性が注目されている。一方で、hPSC-Hepにおいては体内時計の獲得時期や、時計遺伝子と肝機能との関連性については不明である。本研究では、分化誘導因子や時計同調因子を厳密に時間制御できるマイクロ流体デバイス(μFD)を用いてhPSC-Hepが分化過程における体内時計獲得機構とその肝機能との関連性を解明し、機能化・成熟化を促進するシステムの構築を目指す。
本年度は、時計遺伝子の発現変動を分析するために、ベースとなるヒトES細胞(hESC)を用いたhESC-Hepの分化誘導法の検討を行った。作成した分化プロトコルを利用して得られたhESC-Hepを用いてOxford Nanopore MinIONによる RNA-seqを実施したところ、Cytochrome P450 3A7をはじめとする胎児肝マーカーが発現しており、この細胞が未成熟の状態であることを確認した。このプロトコルを基に、μFDを用いてhESCからhESC-Hepの分化過程における時計獲得機構と肝機能の成熟化について検証を行う。
また、本年度は分化因子や時計同調因子を厳密に制御するためのμFDの開発を行った。現在、培養手法(灌流培養、静置培養、還流培養)を検討するために、開発したμFDに既製品のマイクロポンプを接続した検証を実施している。現行のデバイスでは因子の自動投入に使用するバルブの搭載をしていないため、培養手法の検討によって搭載の判断を行う。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

当初の予定通り、ベースとなるhES細胞からhESC-Hepの分化状態を確認することができており、これを用いて時計遺伝子の発現変動を解析する体勢が整った。また、実験に使用するμFDも開発できており、現在そのデバイスを用いた分化実験に着手できている。以上のことから今後も問題なく実験を進めていくことができると思われる。

Strategy for Future Research Activity

今後は、hPSC-Hepの分化過程における時計振動解析を行う。hPSC-Hepの時計振動開始時期を同定するために、概日リズムを示すCYP3A4活性をレポーターとして用い、開発したμFDを用いて経時的なCYP3A4活性変化を測定する。また、CYP3A4活性で測定が困難である場合には、時計遺伝子をルシフェラーゼ標識したhPSCを用いて自動化顕微鏡観察で時計振動をモニタリングすることも考えている。時計遺伝子の振動を全ての細胞で同調するために、定期的にフォルスコリンやデキサメタゾンを用いる。概日リズムが見られたフェーズ前からリズムが安定するまでの期間、経時的に細胞を回収し 、qPCRにて時計遺伝子(PER, CRY, CLOCK, BMAL)やCYP3Aの発現変動を解析する。
また、時計同調因子(睡眠のリズムや食事のリズム、体温のリズム)によるhPSC-Hepの時計制御と機能解析を行う。これらの解析を行うことによって、生体リズム下における肝機能を生体外において再現・評価できるシステムの構築を目指す。

Causes of Carryover

新型コロナウィルスによる研究活動の制限や必要備品の納入遅延が生じたため、2020年度での使用が困難となった。また、情報収集や成果発表のために参加予定であった学会の中止が相次いだことから、予定していた旅費や参加費の使用が困難となった。
これらを踏まえて、次年度使用額については、本年度に実験に使用するために必要であった備品の購入や、これまでの研究の成果の発表のための学会の参加費および登録費に充てることを計画している。

URL: 

Published: 2021-12-27  

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