2020 Fiscal Year Research-status Report
抗体凝集体の可視化技術を利用した抗体産生細胞クローンの表現型不均一性の解明
Project/Area Number |
20K15105
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Research Institution | National Institute of Advanced Industrial Science and Technology |
Principal Investigator |
千賀 由佳子 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 生命工学領域, 主任研究員 (20758297)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 抗体医薬品 / 凝集化 / CHO細胞 / ライブイメージング |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、抗体産生細胞クローンの表現型に見られる不均一性の原因を明らかにすることを目的とした。天然型の立体構造抗体には結合しないが、酸や熱などの物理的・化学的ストレスによって天然型立体構造が変化した抗体と特異的に結合するプローブを用いて、低凝集性抗体産生細胞の選別に取り組んだ。令和2年度は、以下の2項目を実施した。 (1)細胞内の産生抗体と凝集体を蛍光で可視化するために、Fluorescein標識の特異的プローブと細胞内で産生される抗体に特異的な蛍光標識抗体をCHO細胞にトランスフェクションする条件検討を行った。条件検討は、トランスフェクション試薬、反応時間、プローブと抗体の濃度を検討した。それにより、CHO細胞において抗体凝集体を特異的に検出する最適な条件を決定することに成功した。 (2)細胞内の抗体産生量および抗体凝集体量を測定した。抗体産生量は、「Fluorescein標識の特異的プローブの輝度値/細胞内で産生される抗体に特異的な蛍光標識抗体の輝度値」で算出した。1細胞当たりの抗体凝集体量は、「Fluorescein標識の特異的プローブの輝度値/細胞数」で算出した。これによって、顕微鏡画像からの1細胞当たりの抗体産生量および抗体凝集体量の測定が可能になった。 開発した本技術によって、細胞の種類によって凝集性が異なることを示すことができ、低凝集性抗体産生細胞の選別が完了した。本研究で得られた成果に関しては、現在論文化を進めているところである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
コロナによる影響でテレワークを実施した期間もあったが、令和2年度に予定していた「抗体凝集体に特異的なプローブを活用した低凝集性抗体産生細胞の選別」と「単離した細胞の細胞内および培養液中における抗体の特性解析」に関しては、当初の予定通りに進めることができた。論文化に関しても、令和2年度の成果を取りまとめ、現在論文投稿中である。
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Strategy for Future Research Activity |
今後も、当初計画の完遂を目指す。具体的には、抗体凝集体に関して、細胞内で分解されるのか、もしくは細胞外に分泌されるのかを明らかにするために、抗体凝集体の細胞内での挙動をリアルタイムモニタリングに取り組む。その後、分解/分泌に関与する因子の同定に進む。
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Causes of Carryover |
顕微鏡関連試薬および蛍光色素の購入を予定していたが、コロナの影響により納品が遅れるとの連絡があり、購入を断念した。別会社の製品で代用することができ、97,970円はその差額分である。当該助成金は、次年度の細胞培養、顕微鏡関連試薬の購入に充てる。
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