2021 Fiscal Year Annual Research Report
抗体凝集体の可視化技術を利用した抗体産生細胞クローンの表現型不均一性の解明
Project/Area Number |
20K15105
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Research Institution | National Institute of Advanced Industrial Science and Technology |
Principal Investigator |
千賀 由佳子 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 生命工学領域, 主任研究員 (20758297)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 抗体医薬品 / 凝集化 / CHO細胞 / ライブイメージング |
Outline of Annual Research Achievements |
本申請研究では、質の良い安定した抗体産生細胞の取得を可能にするアイデアとして、細胞内での凝集体解析に最適な評価法を構築し、抗体高産生細胞の凝集体産生を指標に選別することを目的とした。天然型の立体構造抗体には結合しないが、酸や熱などの物理的化学的ストレスによって天然型立体構造が変化した抗体と特異的に結合するプローブを用いて、純粋なエリート細胞集団(超高生産細胞)の取得に取り組んだ。 Fluorescein標識のAF.2A1(AF.2A1-F520)を用いてin vitroおよび細胞内での抗体凝集体との結合を調べた。どちらの場合も非特異的な結合は見られず、抗体凝集体に特異的に結合していることを示した。次に、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞にトランスフェクションする条件検討を行ったところ、トランスフェクション試薬の検討により、AF.2A1-F520の細胞への導入効率を向上させることに成功した。最適なトランスフェクション条件を確立後、共焦点蛍光顕微鏡にて細胞内の抗体凝集体の局在観察を行った。その結果、強い緑色の輝点が複数観察され、数百nm~数μmの直径を有する粒子の細胞内形成が観察できた。さらに、AF.2A1-F520を細胞の品質評価に利用できるのかを検討するために、トレハロース等の添加剤を処理した場合の細胞内凝集体発現量の推定を試みた。その結果、細胞内の抗体総量は、トレハロースの存在下で半分に減少した。一方、抗体凝集体の相対量は少し増加していた。これらの結果は、過剰なトレハロースを培地に添加することによって誘導された浸透圧ストレスの抗体発現への影響を評価できていることを示唆している。 この技術により、細胞や培養上清などの未精製サンプルに含まれる抗体凝集体の分析が可能になった。本研究結果は、抗体医薬品の品質管理/品質高度化への応用が期待される。
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Research Products
(4 results)