2020 Fiscal Year Research-status Report
Development of Ce(IV) based Charge-neutral Layered Perovskite Nanosheets and Discovery of Its Photo-functionality
Project/Area Number |
20K15106
|
Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
長谷川 拓哉 東北大学, 多元物質科学研究所, 助教 (30793690)
|
Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2022-03-31
|
Keywords | ペロブスカイト / レドックス / セリウム / ナノシート |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の第一段階となる「セリウム導入層状ペロブスカイトの創出」に関して,多くの知見が得られた。まず,これまでに予備研究段階で発見していたタンタル酸塩により,学術論文にて発表することができ,その合成法の確立,結晶構造ならびに電子構造の決定に成功した。また,この合成手法は,タンタル酸塩以外のニオブ酸塩,チタン酸塩といった従来の層状ペロブスカイトによく用いられる遷移金属種にも適用できることが分かった。また,層状ペロブスカイト特有の化学修飾能も,これまで知られてきた層状ペロブスカイトと同様に有しており,層間化学種のイオン交換が可能であることが分かった。ついで,従来法である4級アルキルアンモニウムイオンを用い化学処理による層間剥離は,部分的にではあるものの,単層剥離することが確認された。今後は,十分な剥離ができるプロセスの最適化をする必要がある。 初年度の計画の根幹となるセリウムのレドックス能については,部分剥離したアニオン性セリウム含有ペロブスカイト層を過マンガン酸カリウムにより,酸化反応が進行することが,放射光を用いたXAFS解析からわかった。その構造は,STEM観察,EXAFS解析,X線回折等から多角的に推定することができ,ペロブスカイト骨格を有していることが分かった。また,そのペロブスカイト層は,前駆体となるアニオン性ペロブスカイトに比べて正側に帯電していることが,ゼータ電位測定から明らかになった。 次年度は,得られた電気的中性層状ペロブスカイト化合物の機能開拓を実施予定である。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
初年度の到達目標は,セリウム含有層状ペロブスカイトの酸化反応を利用した電気的中性ペロブスカイト層の創出である。これについては,おおむね順調に進行し,その酸化手法を確立しつつある。また,得られたペロブスカイト層の原子配列の決定,電子構造の推定など,基礎物性に資する情報も得ることに成功している。ただし,単層剥離プロセスは,不十分ではあるため,次年度にはその手法を確立する予定である。
|
Strategy for Future Research Activity |
2021年度は,単層剥離プロセスの最適化を行い,電気的中性単層ペロブスカイトの作製を行う。また,セリウムの酸化による層の電気的中性化に伴って,電子状態が明確に変化することが見いだされているため,その発色状態の変化を利用したクロミズム能等の調査を検討予定である。
|
Causes of Carryover |
当初購入予定であったキセノンランプ光源は,本研究の進捗状況に応じて検討予定であって,当該年度での購入の必要がなかったため,次年度に見送ったため,繰越すことにした。
|
Research Products
(5 results)