金属酸化物ゲルの微細構造解析とプリンタブルチタニアゲルの創製

2020 Fiscal Year Research-status Report

• Project/Area Number: 20K15126
• Research Institution: Japan Advanced Institute of Science and Technology
• Principal Investigator: 廣瀬 大亮 北陸先端科学技術大学院大学, 先端科学技術研究科, 助教 (20854673)
• Project Period (FY): 2020-04-01 – 2023-03-31
• Keywords: 溶液プロセス / 液体プロセス / 金属酸化物 / チタニア

Outline of Annual Research Achievements

本研究では、液相法におけるチタニアの中間体(チタニアゲル)の構造解析を通して、金属酸化物ゲル構造の制御を行う。本研究の目的は、優れた熱変形性を有し、型押し印刷可能なプリンタブル-チタニアゲルの創製を目指すことである。
初年度は、①チタニア溶液ならびにプリンタブルチタニアゲルとなる材料候補のスクリーニング、②作製したチタニア溶液・チタニアゲルの熱分解挙動、チタニアゲルの内部状態の基礎評価を始めた。
材料のスクリーニングの結果、安定性が高く、成膜性の良い溶液の調製に成功した。カルボン酸が溶液内に含まれる場合、溶液の安定性が高く、成膜性がよくなることがわかった。Ｘ線回折により、チタニア溶液を塗布・焼成することで、チタニアが得られることを確認した。熱重量・示差熱同時測定による熱分析やフーリエ変換赤外分光等によって、チタニアゲル中の有機物の配位状態や分解挙動を調べた。その結果、チタニアゲル中の有機分子が配位子として存在していることがわかった。これにより、チタニアゲル中では、チタンの周りに有機分子が配位した状態となっていることがわかった。この構造が優れた熱変形性を有するために重要となると考えている。以上より、プリンタブル-チタニアゲルの候補材料を得ることができた。それら結果を踏まえ、来年度は得られたチタニアゲルの微細構造解析ならびに変形性の評価を進め、ナノインプリントを用いたナノ・マイクロパターンの形成も試みる。

Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

本年度は、溶液のスクリーニングと溶液中のクラスター構造の解析を目的として掲げた。上記の通り、プリンタブルチタニアゲルとなりえる候補材料を得ることができた。また、溶液並びにチタニアゲルについての解析を進め、クラスターを構成する有機配位子の状態についての知見を得た。以上のことから、今年度は概ね計画通りに研究を推進出来たと考えている。

Strategy for Future Research Activity

来年度からは、質量分析ならびに高エネルギーX線回折を用いた、チタニアゲルの構造解析を行う。また、レオメーターによる変形性との関係性を調べる予定である。加え、熱ナノインプリントによるチタニアゲルのナノ・マイクロパターンの形成も試みる。

Causes of Carryover

新型コロナウイルスの感染拡大ため、学会等にかかる旅費を使用しなかったため、費用が予定より抑えられた。来年度は、ナノインプリントを用いたパターニング検討も行うため、消耗品の使用量と頻度が高くなると予想される。例えば、ナノパターンを有するナノインプリント用モールドの加工依頼・購入を計画している。