2020 Fiscal Year Research-status Report
Bottom-up synthesis of oriented graphene nanoribbons on semiconductor substrates
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20K15136
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Research Institution | Japan Atomic Energy Agency |
Principal Investigator |
矢野 雅大 国立研究開発法人日本原子力研究開発機構, 原子力科学研究部門 原子力科学研究所 先端基礎研究センター, 研究職 (30783790)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | グラフェン / ナノリボン / 表面 / STM |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、グラフェンナノリボン(GNR)をステップ列の方位が規定されたGe(110)-16×2再構成構造上に直接ボトムアップ合成する技術の確立を目指す。これによって、バンドギャップの広い基板上に方位が規定されたGNRを作製することを可能にし、次世代電子デバイス創成に貢献する。 本年度は、研究の第一段階となるGe(110)-16×2再構成構造のステップ列方位の規定を表面が(110)面から僅かに傾斜した基板を用いることで達成した。これと並行して16×2再構成構造の形成過程を走査型トンネル顕微鏡を用いてリアルタイムに観測したところ、16×2再構成構造周囲の準安定構造が変化することが明らかになった。この変化は16×2再構成構造形成によって生じる表面歪みによって準安定構造が不安定化したためだと考えられる。16×2再構成構造形成は異方的な表面歪みと影響しあうことが知られており、16×2再構成構造周囲に生じるストレスが16×2再構成構造の拡大について理解するための鍵であることが示唆された。 第二段階として、GNRの前駆体分子(10,10’-dibromo-9,9’-bianthracene (DBBA))をGe(110)-16×2再構成構造に蒸着すると、DBBA分子はステップエッジに整列することを見出した。GNRはDBBA分子を重合して作製する。したがって、分子が整列することはGNR作製において有用な特徴である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
令和2年度は、当初の計画通りGNRの基となる「方位の規定されたGe(110)-16×2再構成構造の上に並ぶDBBA分子」を作製することに成功したため、おおむね順調に進展していると判断する。
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Strategy for Future Research Activity |
DBBA分子を加熱処理することで重合させ、GNRを作製する。この処理の温度と時間を制御して形成したGNRの方位が規定される条件を決定する。また、DBBAとGe基板の反応性に注意し、必要に応じてGe基板表面のダングリングボンドに終端処理を施す。GNRの形成はラマン分光、形成位置はSTM、形成方位はLEEDを用いてそれぞれ評価する。
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルス感染症の拡大の影響を受け、令和2年度に予定していた出張をとりやめたため、出張に係る経費が次年度使用額として生じた。次年度使用額は、令和3年度分経費と合わせて、出張等に係る経費として使用する予定である。
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Research Products
(1 results)