2020 Fiscal Year Research-status Report
A study of carrier transport mechanism in organic-inorganic hybrid field effect transistor
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20K15157
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
鈴木 和也 東北大学, 材料科学高等研究所, 助教 (20734297)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 有機無機ハイブリット / 磁気抵抗効果 / 蒸着重合 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では, 強磁性金属から有機分子へスピン注入する過程において重要な役割を果たす,強磁性金属に吸着した有機分子のキャリア輸送機構の研究を行う。そのために強磁性ナノドットを有するゲート絶縁膜上に形成した有機半導体膜をチャネル層とする有機無機ハイブリット型の電界効果トランジスタを作製し、その素子特性から強磁性金属/有機分子界面におけるキャリア輸送機構を調査し、有機/無機ハイブリット界面特有のスピン依存伝導現象の発掘を目指す。今年度はチャネル層用有機半導体薄膜材料のスクリーニングとして、π共役骨格を有するポリイミド薄膜を蒸着重合法を用いて合成し、その電界効果トランジスタ特性を調べた。その結果、 Perylenetetracarboxylic dianhydride(PTCDA)と芳香族アミン分子との共蒸着膜において、小さいながらもゲート電圧に依存するソース-ドレイン電流を観測した。しかし、大気中における電気特性が不安定かつ再現性に課題があるため、成膜プロセスの改良やキャップ層の導入が必要と考えられる。また、ゲート絶縁膜上への強磁性ナノドット形成の条件出しを実施し、金属-非金属的電気抵抗特性と成膜条件の関係を明らかにし、素子作製プロセスの指針を得た。また、これらの成果をもとに有機無機ハイブリット型の電界効果トランジスタを試作したところ、ゲート電圧に起因したソース-ドレイン電流の観測に成功した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初は、基板加熱機構を成膜装置へ新たに備え付け、真空中でのポリイミド薄膜の加熱合成を行うことにより高品質な高分子膜を得る予定であった。しかし、その過程で基板加熱機構の熱均一性や安全性、メンテナンス性など設計面での課題が明らかとなった。そのため、ポリイミド薄膜の合成を室温で合成した前駆体薄膜を大気に曝した後に別の熱処理装置で熱処理を行うことになった。そのために電気特性の不安定さや再現性が低いことにつながったと考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
基板加熱機構の再設計を行い、製作中である。真空中で加熱が可能になることによりキャップ層の導入が可能になり、測定雰囲気に含まれる水や酸素などの影響が軽減されると期待される。また、計画通りにPTCDA系ポリイミド薄膜を用いた有機無機ハイブリット型の電界効果トランジスタを作製し、そのトランジスタ特性からキャリア輸送機構を明らかにし、スピン依存伝導現象の探索に取り組む。
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Causes of Carryover |
コロナウィルス蔓延による出張制限、及び学会等のオンライン化により旅費を使用する必要がなかった。また、基板加熱ヒーター機構を自作することにより、経費の節約を図ったため物品費に剰余が生じた。剰余分は、次年度において試料の電子顕微鏡観察費や解析委託費、素子特性の低温測定に使用する液体ヘリウム供給の費用に使用する予定である。
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Research Products
(2 results)