2020 Fiscal Year Research-status Report
Development of long-lived noble metal-saving catalysts for efficient recycling of carbon dioxide
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20K15165
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
國貞 雄治 北海道大学, 工学研究院, 助教 (00591075)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 第一原理計算 / ギ酸 / MXene / グラフェン / 単原子触媒 / 二酸化炭素 / 水素貯蔵 / 燃料電池 |
Outline of Annual Research Achievements |
令和2年度は二酸化炭素の高効率な再資源化を実現する長寿命な脱貴金属触媒の開発に向け,長寿命な単原子金属触媒と触媒担体の組み合わせを密度汎関数理論に基づく第一原理電子状態計算を用いて調査した. まず,触媒担体として二次元セラミックス材料であるMXene (Mn+1XnT2;M:遷移金属, X:CまたはN, T:表面官能基,n:2または3)に着目した.遷移金属としてTi, V, Cr, Nb, Moを,表面官能基としてH, O, OH, F, Clを取り扱った.触媒金属としてFe, Cu, Ptを取り扱った.まず,MXene骨格に含まれる遷移金属の酸化物が安定であるほど表面官能基も安定に吸着するということを明らかにした.一方,表面官能基の安定性が高いほど,触媒金属の吸着エネルギーは小さくなり不安定化する傾向が見られた.また,反応性が高いPtやFeを担持した場合には,表面官能基が触媒金属により引き剥がされるような傾向も見られた. 次に触媒活性を評価するため,ギ酸の構成要素であるCOとOHの吸着エネルギーを調査した.その結果,MXene上での安定性が低い触媒金属ほど,COやOHの吸着エネルギーも大きいことが明らかとなった.得られた吸着エネルギーはバルク金属触媒のものよりも大きなものであった.COやOHの吸着エネルギーと触媒活性の関係を示したボルケーノプロットとの比較から,本研究で取り扱った触媒はCOやOHの吸着エネルギーが過大なため,触媒活性はそれほど高くないということが示唆された.そのため,今後はよりCOやOHの吸着エネルギーを小さくする組み合わせを探索していく.また,同様の研究をグラフェンについても行った. これらの成果を2報の査読付き学術論文,2件の国内会議にて発表した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
令和2年度は二酸化炭素の高効率な再資源化を実現する長寿命な脱貴金属触媒の開発に向け,長寿命な単原子金属触媒と触媒担体の組み合わせを密度汎関数理論に基づく第一原理電子状態計算を用いて調査した.触媒担体としてMXeneと軽元素置換グラフェンを取り扱った.触媒金属とMXeneの組み合わせとして360種類程度,触媒金属と軽元素置換グラフェンの組み合わせとして20種類程度を取り扱い系統的に調査を行った.得られた知見は,触媒担体と触媒金属の組み合わせが触媒金属の脱落や拡散に与える影響を解明するためのデータベースとして有用であり,長寿命で高活性な触媒の開発において非常に重要なものである.また,これらの触媒上でのギ酸の構成要素であるCOやOHの吸着エネルギーも明らかにした.以上の点から,おおむね順調に進展していると判断した.
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Strategy for Future Research Activity |
令和2年度は,密度汎関数理論に基づく第一原理電子状態計算を用いて触媒金属と触媒担体の安定性に着目して研究を行った.令和3年度はこれまでに得られた知見に基づき,より触媒金属の安定性を高める触媒担体の探索を行う.また,触媒反応の活性化障壁を正確に求めることができるClimbing Image Nudged Elastic Band法を用いい,より正確な触媒活性評価を行う.
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルスの影響によりオンライン開催の学会において成果発表を行ったため,当初に予算として計上していた旅費が発生しなかったため.当該助成金は令和3年度に学会のオンサイト開催が再開された場合の旅費として使用する予定である.
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