2020 Fiscal Year Research-status Report
スピン分解STMによるスカーミオンー超伝導界面の新奇物性探索
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20K15166
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
土師 将裕 東京大学, 物性研究所, 助教 (50805869)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | スピン分解走査トンネル顕微鏡 / 走査トンネル顕微鏡 / 超伝導 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的はスカーミオン磁性体と超伝導体との界面を作製し、その界面で発現する新奇現象を走査トンネル顕微鏡(STM)を用いて観測することである。昨年度は磁場に対して強い超伝導体の作製に取り組んだ。通常、超伝導体は磁場によって壊されやすいため、磁性体と超伝導との界面を作製するにおいて、外部磁場に強い超伝導体を作製することは重要である。昨年度は、Si(111)微傾斜基板上に鉛超伝導体薄膜を形成することにより、微傾斜基板のステップによて超伝導が分断されるため、渦糸の作製が抑制され、その結果として外部磁場に強い超伝導薄膜が実現できることを見出した。 次に、界面作製に取り掛かる前に、測定手法の開発に取り組んだ。作製する磁性体界面は非常に小さな試料となることが判明したが、磁場中動作可能な極低温走査トンネル顕微鏡の探針は、液体ヘリウムデュワーに囲まれており、直接見ることができないため、探針を微小試料直上に動かすことは困難である。そこで、界面作製に先立って、微小な試料を装置内で探す手法の開発に取り組んだ。本研究では、微小試料の周囲に金薄膜でガイドを作製し、静電容量をマッピングすることで試料を見つけいる方法を採用した。昨年度は所有の走査トンネル顕微鏡装置で静電容量のマッピングが可能かの予備実験を行い、適切なゲート電圧を印加することで50マイクロメートル程度までの幅の金薄膜であれば静電容量のマッピングで観察できることを見出し、微小サイズ試料の観察の実現に前進した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
作製する磁性体界面は非常に小さな試料となることが判明したが、走査トンネル顕微鏡装置は微小試料の観察に向いていないため、測定手法の開発に取り組む必要があった。そのため計画に変更が生じた。一方で、その問題は解決の目途が立っており、研究を進めることは可能であると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度は、微小試料探索手法の開発を完了させ、磁性体薄膜の作製及び超伝導体との界面作製およびSTM観察に取り組む予定である。
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Causes of Carryover |
コロナウィルス流行により、国内外の講演会が中止もしくはオンライン開催になったため、旅費の支出がなくなったこと、試料作製の一部が翌年度に繰り越されたため、翌年度使用額が生じた。翌年度分は、試料作製用費用に用いる予定である。
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Research Products
(8 results)