2020 Fiscal Year Research-status Report
Visualizing nanoscale water and the condensation dynamics by Brewster angle effect
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20K15167
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
李 禮林 東京大学, 大学院工学系研究科(工学部), 助教 (40850714)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | ブリュースター角効果 / 厳密結合波解析法 / 時間領域差分法 / 微細周期構造 / ナノ/マイクロ加工 / 動的濡れ / 相変化 / 可視化技術 |
Outline of Annual Research Achievements |
水の観察には光学顕微鏡をはじめとした様々な手法が用いられているものの,水薄膜の動的観察には一般の顕微機構の透明媒体に対する不十分な光コントラストのため限界な生じる.そこで本申請研究ではある特定の入射角で鏡面反射率が0となるブリュースター効果を用い,水薄膜による表面付近の屈折率変化から増加した光を高感度で検出することで水薄膜の動的形状変化をリアルタイムで観察する研究を遂行している.更にブリュースター角を持つ微細構造を設計し水の凝縮スポットを制御することで,大気中での分子-ミクロスケール水の可視化技術を目指している. 1年目は当初の計画通り、凝縮スポット制御のためのシリコンナノディスク周期配列構造を設計、ブリュースター角特性を時間領域差分法により3次元空間で行った。光学特性の理解を深めるため、ナノスフェア周期配列構造における特性も計算により調べた。曲面を含む構造であり3次元計算におけるメモリ量が膨大であるため広い範囲のパラメトリック計算は難しいが、実験で使われる658 nm励起波長に焦点を当てた設計は達成した。構造作製プロセスも順調に進められていて、所属機関の共用施設であるナノテクプラットフォームのレーザーリソグラフィーやスパッタなどの装置を使ってプロセスの条件出しを終えている。これからは出されたプロセス条件のもとにブリュースター角効果を示す微細構造表面完成に向け着手する。さらに並行して本研究で提案する手法のコンセプト検証を行い、シリコン基板上ITOとPMMAの二層薄膜構造を利用し厳密結合波解析法によりブリュースター表面を設計、水の先行液膜に着目した動的濡れの観察を行い,水の蒸発における水薄膜の気-液界面時系列形状変化を解析した.これらの成果は9月の応用物理学会秋季学術講演会で発表、国際ジャーナルに投稿予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究概要の項でも述べたように、凝縮スポット制御のための微細構造におけるブリュースター角特性を計算により明らかにし、構造作製のプロセスが順調に進んでいる。またシリコン基板上ITOとPMMAの二層薄膜構造を用いた単純化ブリュースター表面を設計し光学物性評価、動的濡れの評価により本研究提案手法のコンセプト実証も行った。これらのことから総合的におおむね順調に進んでいると判断している。
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Strategy for Future Research Activity |
2年目は初年度に得られた計算結果による構造設計指針と加工プロセス条件をもとにブリュースター角特性を示す微細構造表面を完成させる。作製プロセスは当初高効率・大面積作製が容易であるナノインプリントリソグラフィを用いる予定であり、本所属専攻の他の研究室が所有している装置の利用許可と操作方法を取得済みであったが、1年目のはじめに装置が故障となり修理が不可能な状況となったため加工プロセスを修正する必要があったが、修正したプロセスで問題なく研究が進められている。引き続き当初の計画通り、微細構造表面における分光測定に並行し大気中における局所雰囲気制御系を構築する。実験におけるレーザー波長は固定であるため、精度の高いデータを取得するために電子顕微鏡や原子間力顕微鏡を用い得られた構造表面の形状を厳密に評価し計算にフィードバックすることで真のブリュースター角特性と共鳴メカニズムを理解する。 凝縮ダイナミクスにおける濡れ性の影響を調べるために微細構造表面にはいくつかの濡れ性違いの官能基を持つ分子を使いシランカップリング技術によって単分子膜を形成する。構築した実験系をもとに凝縮ダイナミクスにおける表面濡れ性の影響について実験を行う予定である。具体的には各濡れ性の微細構造表面について凝縮ダイナミクスにおける気-液プロファイルの変化と凝縮液滴近傍の先行液膜挙動における定量評価により、ミクロスケール動的濡れの学理構築を進めていく方針である。
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Research Products
(1 results)