2021 Fiscal Year Research-status Report
表面再構成インフォマティクスによる大規模周期構造の探索
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20K15181
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
草場 彰 九州大学, 応用力学研究所, 助教 (70868926)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 窒化物半導体 / 気相成長 / 表面再構成 / ベイズ最適化 |
Outline of Annual Research Achievements |
気相成長シミュレータを機械学習のアプローチで高精度化する技術について研究を進めている。結晶の表面は気相成長の舞台であるため、原子レベルでの表面構造をできるだけ正確に模擬する必要がある。高並列化に適した第一原理計算コードRSDFTとベイズ最適化ライブラリをスパコン上で組み合わせて昨年度に構築した実行環境を用いて、本年度は表面再構成の構造探索を実施した。これまでのGaN(0001)有機金属気相成長における表面相図研究からは、一般的な成長条件の範囲ではGa吸着表面またはH吸着表面が安定とされている。しかし、従来研究は小さい表面周期性(2×2)の仮定に基づく結果であり、実際にはGa吸着表面とH吸着表面の混合状態にあると予想される。そこで、より大きな6×6の表面周期を用いて、GaとHの混合吸着構造を調べた。本探索では候補構造(吸着サイトについての組合せ)は約49万通りあり、その中から現実的な試行回数内で効率的に安定構造を見つけ出すことができた。発見された安定構造は自明な規則性を持たない複雑な構造であったが、エレクトロン・カウンティング則を局所的に厳密に満たしながら、吸着子間相互作用を安定化するように再配列しているという特徴を有していた。本アプローチおよび得られた知見は定量的結晶成長シミュレータの構築に寄与するだけでなく、広く表面現象が関わる研究の刷新につながる。一方で、今回の探索では、安定な混合状態とともに不安定な混合状態も多く試行された。これらの構造間の距離を調べて探索空間へ反映させることで、より効率的な探索に改善していくことが必要である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
大規模表面構造の第一原理計算における効率的な構造探索を、GaN(0001)有機金属気相成長表面について実施して、アプローチの有効性を確かめることができ、論文発表に至った。
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Strategy for Future Research Activity |
今回は、ある特定の表面組成に注目して探索を行ったが、今後系統的に同様の探索を進めていくことで、高解像度かつリアリスティックな表面相図の作成につなげる。
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Research Products
(4 results)