2020 Fiscal Year Research-status Report
半導体デバイスにおけるバンドアライメントの精密評価技術の開発
Project/Area Number |
20K15184
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Research Institution | Japan Synchrotron Radiation Research Institute |
Principal Investigator |
安野 聡 公益財団法人高輝度光科学研究センター, 産業利用・産学連携推進室, 研究員 (00767113)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | バンドアライメント評価 / 硬X線光電子分光法 / HAXPES |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では半導体のバンドギャップ励起によるフラットバンド化(表面光起電力)を応用して精密なバンドアライメントの評価技術開発を硬X線光電子分光(HAXPES)をベースにして行うものである。 バンドギャップ励起用のキセノン光源及びHAXPES装置の測定槽へバンドギャップ光を照射するためのライトガイドと集光レンズを導入した。幅広い半導体材料へ適用する事を踏まえて、広い波長域(250~1200 nm程度)を持つキセノン光源を選択した。 Si基板をはじめとしたGaN、SiCなど様々な半導体材料においてバンドギャップ光照射+HAXPES測定による実証実験を行ったところ、光照射に起因してフラットバンド状態(表面光起電力)が形成される事を確認した。これを基準とすることで、正確なバンドベンディングの状態を評価する事ができ、また、実際のデバイス構造に近い酸化膜/半導体層などの多層膜構造においても、界面における正確なバンドベンディングを把握する事に成功した。これにより、価電子帯のバンドオフセット評価と併せることで、半導体デバイス全体の精密なバンドアライメントを取得することが可能となった。 他、バンドパスフィルターを用いてバンドギャップ励起光を分光した簡易的な波長依存性評価を行ったところ、材料のバンドギャップに依存した光電子のピークシフトを観測した。次年度はさらに波長選択性を高めるために同光源用の分光器を導入し、材料のバンドギャップ評価技術の確立についても検討していく。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の予定通りバンドギャップ励起用のキセノン光源と集光レンズを導入し、バンドギャップ励起+HAXPES測定が種々の半導体材料へ適用できることを確認した。また、バンドパスフィルターを用いた簡易的な波長依存性評価を行い、材料のバンドギャップに依存した光電子ピークシフトが起こることも確認できている。
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Strategy for Future Research Activity |
今後さらにバンドギャップ光の波長選択性を高めるためにキセノン光源用の分光器を導入し、光電子のピークシフトを使ったバンドギャップ評価技術の検討を行う予定である。 一方で、表面や界面に存在する欠陥密度によっては今回導入したキセノン光源や集光レンズでは光量が不足する課題が一部の試料で確認されており、さらなる集光や材料によっては光源自体の仕様や性能を検討する必要がある。また、最表層に金属電極が存在するケースでは、バンドギャップ光を半導体層へ到達させるためには、表面(金属電極)側からではなく、試料の断面から照射するなどの工夫が必要になると考えている。
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Causes of Carryover |
ほぼ当初の計画通りに予算を執行したが、新型コロナウィルスの影響で当初予定していた打ち合わせ等が実施できなかったため予算に余りが生じた。
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