2020 Fiscal Year Research-status Report
空間波長分布により利得狭窄を抑制した高出力超短パルスレーザーの開発
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20K15192
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
北島 将太朗 大阪大学, レーザー科学研究所, 特任助教(常勤) (80850544)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 薄ディスクレーザー / 超短パルスレーザー / 半導体直接励起固体レーザー / モード同期レーザー |
Outline of Annual Research Achievements |
高出力な超短パルスレーザーは微細精密加工などの産業分野をはじめ幅広い応用があるが、利得狭窄という現象により高い出力と短いパルス幅の両立はこれまで困難とされてきた。本研究ではこの利得狭窄を補償し、フェムト秒 (10-15秒)のパルス幅と高い出力を併せ持った超短パルスレーザーを開発することを目的とする。具体的には共振器中に回折格子を組み込んだ新規コンセプトの利得狭窄抑制レーザー増幅器を提案する。これによりレーザー光は共振器中で波長成分ごとに分割され、励起レーザーの空間強度変調と組み合わせることで、スペクトルの狭帯域化を抑制する。本研究ではまず利得媒質モジュールと励起光学系の開発を行い、次にそれらを用いた増幅器を構築することで本コンセプトの原理実証を行う。 本年度は主に薄ディスクレーザーの励起モジュールの構築と、薄ディスクの製造、また利得媒質の励起下の温度分布などの計算を行った。まず励起モジュールの構築では、放物面鏡とプリズムミラーを用いた励起光学系を構築し、アライメントのズレなくファイバー結合型半導体レーザーの出射光をディスク上に集光することに成功した。次に薄ディスクの製造では、業者と連携し、Yb添加のタングステート系材料にて厚さ300umの研磨とコートを行った。温度分布の計算では、熱流体FEM計算を用いた詳細な温度分布の計算を行い、低熱伝導率材料でありながら、概ね200W程度の励起に耐えられることを確認した。 以上の工程により、次年度からの薄ディスクレーザーを用いたレーザー発振及び増幅実験の準備が整った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
以上のように難関だと思われた薄ディスクレーザーの励起光学系や利得モジュールの製造に成功し、次年度からの発振器及び増幅器の構築に遅延なく進めるため。
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Strategy for Future Research Activity |
薄ディスクレーザーにて発振器及び増幅器の構築をし、当初の目的である空間波長分散を用いた利得狭窄の補償に取り組む
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Causes of Carryover |
本年度の納入を予定していた放物面鏡が、新型コロナウィルスの影響で納入が遅れ、次年度の発注となったため
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Research Products
(1 results)