2023 Fiscal Year Annual Research Report
First-principles study of light-matter interactions on semiconducting metasurfaces
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20K15194
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
植本 光治 神戸大学, 工学研究科, 助教 (90748500)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | ナノフォトニクス / 電磁界解析 / 超高速現象 / 第一原理計算 / 非線形光学 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題では、シリコンのナノスケール人工構造の強レーザーパルスによる高調波発生を半導体ブロッホ方程式を組み込んだ電磁界シミュレーションにより予測する計算手法構築を行った。2022年度までに汎用の光科学用途向け第一原理電子状態計算コード「SALMON」に速度ゲージをもちいた半導体ブロッホ方程式計算機能実装を行っており、2023年度には上記機能をシリコンナノ円柱の周期構造系に対して適用し、(1)光近接場における高調波スペクトルの記述、(2)高調波強度のナノ粒子のサイズおよび配列距離依存性(3)高調波発生の粒子内の空間分布を調査した。一例として、半径R=200~400ナノメートルのナノ粒子では、入射レーザーが粒子内焦点近傍に集光されると同時に、光閉じ込めにより高強度電磁場が発生し、非線形な第3次高調波(さらに第5~9次高調波以上の次高調波)をふくむ分極電流が誘起される様子がみられた。ナノ粒子から数百ナノメートル以内の近傍に形成される光近接場の電磁場分布は、(ナノスケールの表面構造をもたない)均一かつ平坦な半導体ナノ薄膜における高調波強度を上回る。また粒子サイズ縮小により光閉じ込めが強められた結果として高調波強度の増大が確認できるほか、古典的な円柱による散乱解(Mie散乱理論)から予測される共鳴条件(R~20nm)において高調波が極大となる振る舞いが確認される。さらに、強いレーザー場下においては半導体材料中で多光子過程をもちいた自由キャリア励起により導電性が生じ、誘電関数にドルーデモデル的な応答が加わることで、電磁場の空間分布が古典電磁界シミュレーションによる振る舞いから大きく外れることが確認された。このような非線形ナノフォトニクスデバイスデザインにおける本手法の有効性が確認された。
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Remarks |
木原康輝, 松浦豪介, 山田俊介, 植本光治「第一原理計算による半導体ナノ構造の非線形光学効果のシミュレーション」第34回光物性研究会論文集 235-238 2023年12月(査読なし・プロシーディング)
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