2021 Fiscal Year Annual Research Report
Terahertz emission spectroscopy of mid-infrared active photocurrent dynamics in Weyl semimetals
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20K15198
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
五月女 真人 東京大学, 先端科学技術研究センター, 特任助教 (40783999)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | シフト電流 / 光電流 / 光電流 / テラヘルツ / 超高速分光 / 中赤外 / 半導体 / フェムト秒 |
Outline of Annual Research Achievements |
光吸収に伴って電流が生じる光電流は太陽電池や光検出器などに広く用いられている物理現象である。そこでは、電子と正孔が粒子として移動するという古典的描像が信じられてきた。しかし最近、電子雲がコヒーレントに瞬時に伝搬する「シフト電流」という光電流の描像が近年の新型太陽電池の基礎であると理論が提唱されはじめた。シフト電流は「瞬時に」単位格子を超えて伝搬する非局在性を持ち、これが高効率性に関連しているという理論が提唱されていた。これまでの研究で我々は、近赤外~可視域(0.5-2.6eV)においてシフト電流感受率を評価する研究を行ってきた。この実験技術を生かすことで、将来の赤外光電変換デバイスでの光電効果の基礎原理となるシフト電流の超高速ダイナミクスを観測できることが期待された。 本研究ではまず、2Kの低温環境で熱の影響を少なくしながらシフト電流からのテラヘルツ波発生を観測する実験系を構築した。シフト電流のモデル物質として、化合物半導体CdSにおける励起子共鳴励起でのシフト電流ダイナミクスを観測することに成功し、そのスペクトルがシフト電流の理論と定量的に一致することを見出した[M. Sotome et al., Physical Review B 103, L241111 (2021)]。 中赤外域に分子内・分子間振動モードによる吸収ピークを持つことが多い有機非線形光学結晶を候補物質として幅広い波長帯でテラヘルツ波発生を探索した。吸収のない近赤外光励起で非線形光学効果による高効率なテラヘルツ波発生が見いだした[M. Sotome et al., Optics Express 29, 10048-10058 (2021)]。有機分子性結晶の多くは中赤外域には分子振動モードを起源とする光学フォノン吸収があることから、中赤外光吸収による光電流も期待される。
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