2022 Fiscal Year Annual Research Report
混合原子価化合物UM3O10(M=V, Nb, Ta)の原子価および構造の決定
Project/Area Number |
20K15203
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
秋山 大輔 東北大学, 多元物質科学研究所, 助教 (80746751)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 5価ウラン化合物 / HERFD-XANES |
Outline of Annual Research Achievements |
遷移金属元素とウランの化合物であるUM3O10(M=V, Nb, Ta)については結晶構造に関する知見も少なく、ウランの原子価についても不明な部分が多い。本研究で は高純度のUM3O10(M=V, Nb, Ta)を合成したうえで、構造を明らかにするとともに、ウランの価数をMIV端XANESスペクトルから評価する。ここから、5価ウラン化 合物の生成メカニズムを明らかにすることを目指す。令和2年度に合成したウラン酸化物と遷移金属である、UM3O10(M=V, Nb, Ta)のMIV吸収端におけるXAFS測定を行うため、令和3年度はその準備として真空チャンバーの作成を行っていたが、核燃料物質の使用に関する規制上、MIV端を利用した原子価の評価が困難となったため、UのLIII吸収端における高分解能XANES(HERFD-XANES)を用いた分析を行った。その結果、既報のUFeO4中のウランのLIII端におけるXAFSスペクトルで確認されたピークの分離がUM3O10(M=V, Nb, Ta)においては確認されなかった。これについて考察するためにFDMNESによるシミュレーションを行った結果、UFeO4に比べてウランが複雑な電子状態になることによって6d軌道の分裂が多くなり、HERFD-XANESによる分析においても明確なピーク分裂は確認できなかったと考えられる。またウランのLII端において通常のXAFS測定を行い、UO2、U3O7、FeUO4、U3O8、UO3を標準物質としてスペクトルの変曲点のエネルギーに対するウランの原子価の一次方程式を導出し、UM3O10(M=V, Nb, Ta)中のウランの原子価について評価を行った。これら2つの手法により評価したウランの原子価はいずれも一致しており、UV3O10はウランは5価より若干酸化されていることと、UNb3O10とUTa3O10中のウランはほぼ5価であることが示された。
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