2021 Fiscal Year Annual Research Report
超伝導転移端検出器を用いた高感度XAFS法による環境中の放射性核種の挙動解析
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20K15204
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
QIN Haibo 東京大学, 大学院理学系研究科(理学部), 特任研究員 (60867969)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | XAFS / 放射性核種 / TES |
Outline of Annual Research Achievements |
天然水中のSeの主要な化学形態であるSe(IV)とSe(VI)のオキソアニオン(亜セレン酸、セレン酸)とカルサイトの共沈実験を行った結果、pH 7でのSe(IV)とSe(VI)の分配係数 (Kd (L/kg) = [Se]solid/[Se]water) の比は1.2×102であり、Se(IV)の方がカルサイトに取り込まれやすいことが明らかとなった。カルサイト中のSeのEXAFS解析からは、Se(IV)はSeO3四面体、Se(VI)はSeO4四面体としてカルサイト中の炭酸イオンサイトを置換したことが分かった。還元的環境である地下水中では、ほとんどがカルサイトに取り込まれやすいSe(IV)のオキソアニオンとして存在している。そのため、カルサイトへのSeの取り込みは、79Seの移行過程に効果的な遅延効果をもたらすものと考えられる。セレンのうち79Se (半減期: 65,000年) は、高レベル放射性廃棄物に含まれる核分裂生成物であることから、埋め立て後の生物圏への移行挙動解析が急務とされている。廃棄物と生物圏を繋ぐ経路の一つである地下水中では炭酸イオンが高濃度に溶存するため、炭酸塩鉱物へのSeの収着が、廃棄物からの79Se移行に遅延効果をもたらす可能性がある。それ故に、79Se移行に関わる地下水シナリオを想定する場合、地下水中の炭酸塩の形成とそれに伴う79Seの収着メカニズムを明らかにすることは重要である。本研究の結果から、炭酸塩への固定は、亜酸化的な環境で生成する亜セレン酸の場合により起きやすいことが本研究から明らかになった(Yokoyama, Qin et al., 2022)。一方、Fe(II)を含むスメクタイトによるセレン酸の亜セレン酸への還元に関する研究も進め、その過程でのセレン同位体比の研究も含めて論文報告した(Xu, Qin et al., 2021)。
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Research Products
(5 results)