2021 Fiscal Year Research-status Report
高精度かつ簡便な金属系燃料デブリ中ホウ素濃度定量法の開発
Project/Area Number |
20K15209
|
Research Institution | Japan Atomic Energy Agency |
Principal Investigator |
墨田 岳大 国立研究開発法人日本原子力研究開発機構, 福島研究開発部門 福島研究開発拠点 廃炉環境国際共同研究センター, 研究職 (50851325)
|
Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
|
Keywords | 金属系燃料デブリ / ホウ素 / 分析 / ステンレス鋼 / 炭化ホウ素 / ジルコニウム / 即発γ線分析 / ICP-OES |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、ステンレス鋼、炭化ホウ素(B4C)、金属ジルコニウムを主成分とする「金属系燃料デブリ」中の高濃度ホウ素の簡便かつ高精度な濃度定量法の開発を目的としている。2021年度は、ホウ素濃度を調整した各種試料を用い、即発γ線分析およびICP-OESを実施し、ホウ素濃度の精密定量分析を行った。また、ホウ化物標準試料作製のため集光加熱炉の整備も同時に行った。 即発γ線分析から、各種試料中のホウ素濃度を精緻に決定した。また、測定試料の効率的な溶液化法を検討し、試料を完全溶解可能な溶液条件・加工条件を見出した。具体的には、γ-Fe相と(Cr,Fe)2B相から構成される試料を、フッ酸や過塩素酸などの薬品を使用せず、完全分解できる条件を見出した。溶解した固体試料のICP-OESの測定条件を検討し、固体試料中のホウ素濃度をICP-OESで定量することに成功した。具体的には、メモリー効果によりICP-OESでは定量が困難とされるホウ素であっても、測定波長や洗浄液、洗浄時間などの条件を最適化することで、定量が可能となることを見出した。 このように検討された測定手法を、金属系燃料デブリ以外のホウ素含有材料にも適用するため、種々のホウ素含有材料にも即発γ線分析およびICP-OES測定を適用をすることは重要である。ところが、ホウ化物は一般的に高融点のため、溶融固化法によってバルク試料(測定試料)を作製するのは困難である。本研究では、超高温で材料加工が可能な集光加熱炉を用いたホウ化物材料の作製についても検討した。具体的には、集光加熱炉の問題点である温度測定の困難さを克服するため、石英の光学特性を利用した放射温度計による新規温度測定手法を検討し、試料温度の高精度測定に成功した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画通り、2021年度中にJRR-3を用いた即発γ線分析を用いた試料中ホウ素の定量に着手することができ、PGAによるホウ素定量の目処が立った。また、PGAの2022年度マシンタイム申請も完了し、十分なマシンタイムを確保することができた。 ICP-OES分析に関しても、当初の計画通り、試料の酸分解、および、ICP-OESを用いた試料分析に成功し、ICP-OESによるホウ素定量の目処が立った。 以上の理由から、本研究課題はおおむね順調に進展していると考えられる。
|
Strategy for Future Research Activity |
今後は、2021年度得られた結果をもとに、さらに広い試料組成範囲における即発γ線分析およびICP-OES分析を進める。具体的には、ホウ素含有材料として、クロムホウ化物や炭化ホウ素(ホウ化炭化物)を用いて、当該試料のPGA分析やICP-OES分析を実施し、本提案手法の適用性を評価する。 また、得られた結果(PGA分析結果、ICP-OES分析結果)を論文としてまとめる予定である。
|
Causes of Carryover |
当初計画において、2021年度に試料酸溶解用消耗品の購入を予定していたが、研究代表者が所属するグループが所有する備品で代用することができたため、消耗品購入に係る費用が次年度使用額として生じることとなった。次年度使用額は、2022年度研究費と合わせて、即発γ線分析およびICP-OES分析に使用する「試薬」の購入費用として使用する。
|
Research Products
(4 results)