2022 Fiscal Year Research-status Report
配位子場解析に基づく白金族-硝酸抽出反応のモデル化
Project/Area Number |
20K15210
|
Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
金子 政志 大阪大学, 大学院理学研究科, 講師 (50781697)
|
Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
|
Keywords | 溶媒抽出 / 密度汎関数法 / 錯体化学 / 元素分離 / 配位結合 |
Outline of Annual Research Achievements |
2022年度は、昨年度から検討を進めてきた白金族元素(Ru, Rh, Pd)の溶液中の錯体構造及び錯生成反応を密度汎関数法(DFT)による計算によってモデリングし、実験値との比較による計算手法の妥当性検証や計算結果の解析による考察を行った。 まず、Rh元素について、塩化物イオンとの錯体を対象として、UV-Vis分光実験値との比較を行った。時間依存DFTにより、Rhの水和錯体に対して塩化物イオンが置換されることによって、d-d電子遷移エネルギーが減少する傾向が得られ、実験値の傾向と一致した。この結果について、DFT計算により得られた分子軌道に基づく配位子場解析を行い、Rh-H2O結合に比較してRh-Cl結合に対応する分子軌道エネルギーが高く、塩化物イオンの置換が進むことによって、遷移エネルギーが小さくなることが示唆された。これらの結果について、学会発表を行った。 また、Pd元素について、配位型/イオン会合型抽出のモデリングを行い、水相中の抽出錯体の生成エネルギーに基づいて、どちらの抽出反応が優位に起きやすいか、検討を行った。その結果、トリメチルアミンではイオン会合型の生成が優位だったが、トリメチルホスフィンでは配位型の生成が優位となった。この結果は、溶媒抽出実験で報告された結果と一致しており、本研究による生成エネルギーの比較により、Pd元素の配位型/イオン会合型の予測が可能になることが示唆された。これらの結果については、現在学会や論文による発表準備を進めている。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
2022年度は、当初の計画通りの研究結果を得ることはできたが、新型コロナ禍での移動制限や所属研究機関の変更などにより、成果の発信にやや遅れが生じた。この遅れに関しては、1年間の補助事業期間延長申請を行い、承認された。
|
Strategy for Future Research Activity |
2023年度は、これまで得られた研究結果をまとめ、学会や論文による成果の発信を行う。
|
Causes of Carryover |
2022年度においては、新型コロナウイルス感染症の感染拡大の影響を受けて、学会発表や研究打合せが集合(対面)形式からWeb会議形式に変更となったことに加え、所属研究機関の変更による研究遂行に割ける時間が不足したことにより、当初計画に比べて少なかった。補助事業期間の延長申請が承認され、次年度まで本研究課題を継続し、2023年度は、研究成果の発信のための費用などとして使用する。
|
Research Products
(6 results)