2020 Fiscal Year Research-status Report
Development of hydrogen production utilizing magnetic ejection effect of magnetic nanofluids
Project/Area Number |
20K15218
|
Research Institution | Nagoya Institute of Technology |
Principal Investigator |
岩本 悠宏 名古屋工業大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (30707162)
|
Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2022-03-31
|
Keywords | 磁性ナノ流体 / 磁性ナノ粒子 / 磁性流体 / 水電解 / 数値解析 / 多孔質電極 / 水素製造 |
Outline of Annual Research Achievements |
環境保全と持続可能エネルギー社会の形成のためには,水力発電などの再生可能エネルギーを電源とした水素製造とその有効利用が不可欠である。そのために,本研究課題では,磁性ナノ流体を用いた新しい水電解技術を提案するとともに,従来技術では不可能であった多孔質電極を水電解に適応し,電極比表面積の飛躍的な拡大による水電解の超高効率化を目指す。 磁性ナノ流体を電解液とした水電解の研究報告はない。まず電気伝導性を付加するため電解質の混合によるpHが磁性ナノ粒子の分散性に与える影響を調査した。pHの異なる磁性ナノ流体を作製し,沈降実験を行った結果,強酸では磁性ナノ粒子表面の界面活性剤が剥離することで,磁性ナノ粒子の分散性が劣化することが明らかとなった。一方で,中性・アルカリ性では磁性ナノ粒子の分散性を担保することを確認した。 水電解において電流密度と電解量は1対1の関係にある。したがって,印加電圧を走査し電流密度を計測することで,電極表面での酸化還元反応(水電解プロセス)を解析することが可能である(CV測定)。pHの異なる水ベース磁性ナノ流体を電解液としてCV測定を実施した結果,通常の水と異なる酸化還元反応,特に水素・酸素発生電圧の遷移と電極表面での酸化被膜生成過程において特異なピーク電流の存在を確認した。 また,一定電圧を付加し電解量(電流密度)を計測するクロノアンペロメトリー法(CA法)により磁場印加による水電解への影響を調査したところ,電極表面の磁場強度が大きくなるにつれて,電解量が向上することが明らかとなった。 また,磁性ナノ流体を電解液とし,磁場環境下での水電解メカニズムを明らかにするため,電磁流体力学に基づいた支配方程式系と解析手法を構築し,その基礎解析コードの開発を実施した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初計画の①水電解に最適な磁性ナノ流体の創製と評価,②水電解に適応した多孔質電極の創製と評価,③磁性ナノ流体を用いた多孔質電極水電解の有効性の検証と物理現象の解明において,計画通りの進捗を得た。当該年度は,まず基礎的な磁性ナノ流体による水電解プロセスの解明に当たり,pHの異なる磁性ナノ流体を作製し,磁性ナノ粒子の安定分散性に関する知見,および平板電極における磁性ナノ流体の電解プロセスをCV測定,および磁場印加による電解向上をCA測定により明らかにした。以上より,おおむね順調に進展している。
|
Strategy for Future Research Activity |
2020年度に引き続き,①水電解に最適な磁性ナノ流体の創製と評価,②水電解に適応した多孔質電極の創製と評価,③磁性ナノ流体を用いた多孔質電極水電解の有効性の検証と物理現象の解明,を行う。特に,多孔質電極を磁性ナノ流体を用いた水電解に適応することで,飛躍的な水電解効率の向上に資する研究を実施する。また同時に2020年度に開発した数値計算コードを発展させることで,磁場下における磁性ナノ流体の水電解プロセスの解明に資する研究を実施する。
|