2021 Fiscal Year Annual Research Report
Development of efficient and accurate electronic structure theory and its application to enzymatic reactions mediated by metalloprotein
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20K15228
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
齋藤 雅明 名古屋大学, 物質科学国際研究センター(WPI), 助教 (40832556)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 動的電子相関 / 静的電子相関 / 多参照摂動理論 / 溶媒和効果 / 局所相関法 / 多参照摂動理論 |
Outline of Annual Research Achievements |
共有結合の組み替えを伴う多くの化学反応においては、強く分極した遷移状態が現れる。強く分極した分子種の安定性は、それを取り巻く溶媒やタンパク場に強く影響される。実在的な複雑系の反応計算には、溶媒和効果を取り込んだ高精度電子状態理論が不可欠となる。そこで本研究では、「分極連続体モデル (PCM) 法」に基づく「多参照2次摂動理論」であるPCM-CASPT2法の開発を行なった(J. Phys. Chem. A 2021, 125, 8324.)。PCM-CASPT2法はPCM-DFT法よりも高精度であることが示された。類似した理論手法として、RISM-CASPT2理論がある。RISM溶媒和モデルは、水素結合などの記述を得意とする一方、PCM法と比して高コストとなる。これら2つの理論手法を用いたベンチマーク計算により、強い水素結合を有する一部の分子系を除いて、PCM-CASPT2法はRISM-CASPT2法と遜色ない精度を与えることが示された。 CASPT2法は高精度理論手法であるが、その計算コストの高さから、高々50原子系程度にしか適用出来ない。そこでコンパクトな仮想軌道表現である「局在化対自然軌道 (PNO) 」を用いてCASPT2法の計算コストを大幅に削減する新規理論手法 (PNO-CASPT2法)の開発を行なった (J. Chem. Phys. under review) 。従来型PNO法では、局在化中間基底として、線形従属かつ非直交な「射影原子軌道 (PAO) 」を用いる。本研究ではPAOに代わり、直交基底である「局在化仮想分子軌道 (LVMO) 」を導入した。仮想軌道の局在化は数学的に不安定な極値問題となるために、LVMO計算はこれまでは困難であった。そこでaugmented Hessian法に基づく軌道局在化ソルバーを開発することでこの問題を解決することに成功した。
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Research Products
(4 results)