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2020 Fiscal Year Research-status Report

有機分子集合体が織りなす励起子生成機構の解明に向けた新規な励起状態計算法の開発

Research Project

Project/Area Number 20K15231
Research InstitutionKobe University

Principal Investigator

土持 崇嗣  神戸大学, システム情報学研究科, 准教授 (40763933)

Project Period (FY) 2020-04-01 – 2023-03-31
Keywords電子状態理論 / 摂動論 / 一重項励起子分裂 / 量子化学
Outline of Annual Research Achievements

有機半導体材料における一重項励起子分裂(SF)は太陽光発電における光エネルギー変換効率を高める極めて重要な現象であると考えられ、高効率な有機太陽電池の実用化に向けて広く研究が行われているが、その反応機構は完全な解明には至っていない。このため、計算化学による理論的な知見が期待される。
本研究では新規な励起状態計算手法を開発・適用することにより、今までの理論研究の限界を超えた大規模系に対してSFについての新たな知見を得ることを目的とした。SF反応機構に関わる重要な状態について選択的に高精度計算を行い、これらを有効的に組み合わせるボトムアップ型アプローチを取る。本年度は摂動法を理論的側面およびアルゴリズム的側面の両面から大きく改良し、大規模な分子について実用的な計算を可能にすることに成功した。
1. 摂動エネルギー分母の発散を回避するために必要となる虚レベルシフトを課した従来の線形方程式は、シフトなしのものと比べて条件数が非常に大きくなり数値的な収束が困難であった。本年度は虚レベルシフトをあらわに取り扱った新たな線形方程式を導出・実装することで、収束性ひいては計算速度の大幅な向上を達成した。2. 上記線形方程式を解くための前処理を改良し、これによって同様に収束性及び計算速度の向上を達成した。3. 分散メモリ型超並列実装を行い、スーパーコンピュータを用いて超効率的に計算を実行することが可能になった。4. 従来の零次のハミルトニアンは励起状態など開殻軌道に対して摂動エネルギーを過剰に見積もることがわかった。そこで、イオン化ポテンシャル-電子親和力(IPEA)を元に零次のハミルトニアンをシフトさせる手法を導入した。
これらの実装を用いて遷移金属錯体に対してベンチマークを行い、有効性を実証した。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

本年度は2019年に提案した摂動論を一重項励起状態計算に拡張し、本年度目標である「励起状態計算手法の開発と精度検証」を完了する予定であったが、励起状態を含む開殻状態の記述が予期せず良好でないことが様々な数値検証により示唆されたことにより、研究計画を変更し理論の改良を行う必要性が確認された。これに付随して、より大規模な計算を行えるようにアルゴリズムの改良も行い、本研究の後期目標の一つである「大規模系のための超並列摂動論アルゴリズムの開発」をまず達成するに至った。ただし最終的な研究目標はこれらの到達順序に依存するものではない。このため、本研究は全体としておおむね順調に進展していると考える。

Strategy for Future Research Activity

研究計画を変更し、後期に設定していた目標を先に達成したため、今年度はあらためて「励起状態計算手法の開発と精度検証」の課題に取り組む。このために励起状態を近似する平均場波動関数を構築するためのアルゴリズムを量子化学計算パッケージ「GELLAN」に実装し、多状態計算を行う予定である。

Causes of Carryover

理由:コロナ禍により学会による出張がなかったため、本費用を次年度助成金と合算し、当初購入を計画していた計算機のアップグレードに充てることにした。

仕様計画:今年度も学会出張旅費支出はないと考えられるため、ハイパフォーマンス計算機(240万円程度)を購入する予定である。

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Published: 2021-12-27  

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