2022 Fiscal Year Annual Research Report
Structural identification of water at liquid/liquid interfaces by surface-selective vibrational spectroscopy
Project/Area Number |
20K15234
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Research Institution | Tokyo University of Science |
Principal Investigator |
浦島 周平 東京理科大学, 理学部第一部化学科, 助教 (30733224)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 液/液界面 / 振動和周波発生 |
Outline of Annual Research Achievements |
前年度までに、トルエン/水界面からの振動和周波発生をヘテロダイン検出することに成功していた。しかし、前年度は柔らかいトルエン/水界面の位置や高さが安定せず、実験を繰り返すごとに信号が取れる場合と取れない場合が現れてしまっていた。 本年度はこの問題の解決に向けて原因を調査したところ、同量の水とトルエンを用いてもセル内のトルエン/水界面の位置が毎回変わってしまうということを突き止めた。この変化は、測定セルの水・トルエンに対する濡れ性にヒステリシスが生じてしまっているためと考えられる。 そこで、これまで完全密閉型の計測セルを用いて水とトルエンの量で界面高さを制御してきたのに対し、界面高さを測定中に自在に制御できる半開放型のセルを製作した。これにより界面高さが安定し、信号も安定化させることに成功した。 一方、ヘテロダイン検出振動和周波発生分光法ではこの試料界面と強度・位相を規格化するための参照界面とを完全に同一の光学系で計測しなければならないという制約があり、水/トルエン界面の場合には二つの計測で許される光学距離の誤差は1 μm程度である。改良後のセルは1 μmの精度で界面位置を制御可能ではあるが、トルエンに「埋もれた」界面の高さをこの精度で計測することの困難さのため、両界面からの和周波信号を誤差1 μm以内の同一光学系で計測することはできなかった。 この点についてはさらなる改善が必要なものの、原理的に界面位置を制御可能なセルを用いた信号が確認されたことで、液/液界面のヘテロダイン検出振動和周波発生分光法の実現に向けて残る課題を「埋もれた界面の高さ計測」まで限定した。
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