2020 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
20K15235
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Research Institution | Tokyo University of Science |
Principal Investigator |
星野 翔麻 東京理科大学, 理学部第一部化学科, 助教 (20783616)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | イオンイメージング / 反応ダイナミックス / 分子分光法 / 電子状態 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題は、イオンイメージング手法とレーザー分光法を駆使した分子ダイナミックスを観測し得る新規分光法の開発を行うことを目的としている。 本年度はイオンイメージング装置の開発に注力した。イオン光学設計ソフトSIMIONを利用した荷電粒子の飛行軌道のシミュレーションからイオンイメージング分光装置の設計を行い、現有の超音速分子線飛行時間型質量分析・レーザー分光装置に改良を加えた。蛍光スクリーン付きマルチチャンネルプレート検出器、CMOSカメラ、高速パルス電源等を新たに導入し、組み込むことで、イオンイメージング分光装置の開発を行った。 完成した装置のデモンストレーションとして、ヨウ化メチル(CH3I)分子の光解離反応によって生成するCH3ラジカルの(2+1)共鳴多光子イオン化(REMPI)スペクトルとイオンイメージの取得を行った。TOF電極の電圧を変化させイメージ像を取得することで、最適なイオンの収束条件を決定した。また、CH3ラジカルのイメージ像より、並進速度の補正係数を決定した。 今後は完成した装置を利用して、種々の分子種の光化学反応ダイナミックスを観測する。特に、ハロゲン分子やハロゲンクラスターは高エネルギー領域において、周辺に存在する電子状態との状態間摂動により非常に複雑な電子構造を有しており、その分子ダイナミックスの系統的な解明が全く手付かずの状況にある。現在、それら化学種の反応ダイナミックスの実験的解明に着手し始めた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
現状、本研究課題の要である、イオンイメージング分光装置の組み上げが完了している。いくつかのテスト実験を行うことで、装置の性能評価を行ったところ、本研究課題で開発した装置は当初予定していたスペックを十分に満足しており、ほぼ完成している。したがって、本研究課題は順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は完成した装置を利用して、種々の分子種の光化学反応ダイナミックスを観測する。特に、ハロゲン分子やハロゲンクラスターは高エネルギー領域において、周辺に存在する電子状態との状態間摂動により非常に複雑な電子構造を有しており、その分子ダイナミックスの系統的な解明が全く手付かずの状況にある。現在、それら化学種の反応ダイナミックスの実験的解明に着手し始めた。
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Causes of Carryover |
本年度に予定していた消耗品を購入しなかったことで若干の未使用金が発生した。金額もわずかであるため、次年度の予算と合わせて使用する。
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