2021 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20K15235
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Research Institution | Tokyo University of Science |
Principal Investigator |
星野 翔麻 東京理科大学, 理学部第一部化学科, 助教 (20783616)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | イオンイメージング / 化学反応動力学 / 光解離反応 / 励起状態素過程 |
Outline of Annual Research Achievements |
前年度に構築した量子状態選別散乱イメージングシステムを利用して、いくつかの分子系に関して、紫外光誘起解離反応に関して調査を行った。具体的な対象としては、臭素分子(Br2)およびジメチルスルホキシド分子(DMSO)である。 臭素分子に関しては、紫外レーザーの二光子吸収により、高Rydberg状態を選択的に励起し、それら状態における前期解離ダイナミクスを調査した。解離フラグメントBr+の運動エネルギー分布の解析および散乱分布の異方性の解析から、高Rydberg状態に励起された臭素分子は核間距離の長い領域に存在するイオン対状態を経由し、さらに内核励起Rydberg状態に移り変わりつつ結合が解離するという反応メカニズムが考えられた。現在この成果を投稿論文として投稿中である。 ジメチルスルホキシド分子に関しては、Nd:YAGレーザーの第5次高調波(213nm)照射によって起きる光解離反応を調査した。生成するC H3ラジカルを共鳴多光子イオン化法によってイオン化し、その散乱分布イメージを取得した。広い範囲にわたるブロードな運動エネルギー分布が得られたことより、様々な過程が競合していることが明らかになった。今後は、フラグメント分子の振動・回転分布の決定、振動励起したフラグメント分子の散乱イメージの取得や、量子化学計算を行い、ジメチルスルホキシド分子の深紫外光誘起解離ダイナミクスの全貌を明らかにしていく。
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