2021 Fiscal Year Annual Research Report
Development of near-field sum frequency generation spectroscopy besed on MHz pulse laser system
Project/Area Number |
20K15236
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Research Institution | Institute for Molecular Science |
Principal Investigator |
櫻井 敦教 分子科学研究所, 物質分子科学研究領域, 助教 (90769770)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 和周波発生 / 走査トンネル顕微鏡 / 近接場 / 走査型近接場光顕微鏡 / 探針増強 |
Outline of Annual Research Achievements |
表面反応メカニズムの詳細を理解するには、物質表面の局所構造を高い分解能で観測できることが理想的であるが、従来の遠視野による観測では、空間分解能が光の波長程度に制限されてしまう。そこで本研究では、金属探針の先端に局在させた近接場光を利用した高感度かつ高空間分解能な新規顕微分光法の開発を目的として研究を行った。 2020年度は、超高真空・極低温で動作する走査トンネル顕微鏡(STM)の立ち上げを行い、金属表面の原子分解像を観察できることを確認した。また、3端子電極法を利用した電気化学エッチング装置を自作し、鋭利な先端をもつ探針の作製を行った。さらに、STMチャンバーの内部にレーザー光を入射させ、そこから発生する信号を検出するための光学系も構築した。この光学系を利用してレーザー光を入射させ、遠視野における蛍光・ラマン信号の測定が行えることを確認した。さらにMHzで発振する高繰り返し周波数の光源をベースにした赤外光と可視光のパルスレーザーを準備し、両者を同軸でSTMチャンバー内に入射させることで、遠視野での和周波発生(SFG)信号が検出できることも確認した。 2021年には、トンネル電流によって誘起された表面プラズモンに由来する発光(STM発光)の観察を行った。STM発光は、金属基板と探針の間のギャップに生じるプラズモンの共鳴波長に応じてスペクトルが変化する。探針を調整することで、STM発光のスペクトルを変化させられることも確認した。さらに金属基板表面に吸着させた分子からのラマン信号(探針増強ラマン信号、TERS)の測定にも成功した。TERS信号は、STM発光のスペクトルを調整することで効率よく信号を検出できることも確認している。現在、光源を切り替えることで、探針増強近接場SFG分光の開拓に取り組んでいる。
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