2021 Fiscal Year Annual Research Report
新構造Janus型デンドリマー多核錯体の創成と分子素子への展開
Project/Area Number |
20K15242
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Research Institution | Tokyo University of Science |
Principal Investigator |
高田 健司 東京理科大学, 研究推進機構総合研究院, 助教 (90792276)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | デンドリマー / 多核錯体 / 配位高分子 |
Outline of Annual Research Achievements |
令和3年度は、前年度に合成および立体構造解析を行ったイリジウム―デンドリマー多核錯体を、有機金属化学的手法を用いて二元多角クラスターを作成する手法の開発を行った。さらにJanus型構造を持つ二次元配位高分子ヘテロ積層構造の作製とその非対称な電子移動現象を明らかにした。 塩化スズ(II)は、白金やイリジウムなどの貴金属原子-塩素結合に挿入反応を起こし、三塩化スズ(II)酸配位子になることが知られている。この反応をイリジウム13核錯体に対して適用したところ、反応溶液が橙色から黄色に変化した。核磁気共鳴スペクトル(NMR)測定では、錯体配位子上のメチル基のプロトンに由来するピークの低磁場シフトが確認されたことから、塩化スズ(II)の挿入は定量的に進行したことが確認された。 合成したイリジウム―スズ多核錯体を水素雰囲気下で焼成することによりクラスター化を行い、高角度環状暗視野走査透過型電子顕微鏡(HAADF-STEM)観察により核数の確認を行った。この観察手法では、原子番号に依存したコントラストで原子を直接観察することができ、イリジウムとスズを区別した電子顕微鏡像を得ることができた。その結果、イリジウム、スズ原子がともに13個であるようなクラスターが確認できた。すなわち、イリジウムとスズの比率を規定したクラスターの新合成法の確立ができた。 また、2つの混ざり合わない界面での錯形成反応を逐次的に行うことで二次元ビス(テルピリジン)錯体配位高分子からなるヘテロ積層構造体を作製する手法を開発し、各層の電位依存電気伝導度の差によって、電子移動が起こる電位が電子移動方向によって異なる非対称な系を構築できた。
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Research Products
(6 results)