2020 Fiscal Year Research-status Report
生体深部の高速画像取得を実現する超高効率二光子励起蛍光ナノプローブの創成
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20K15246
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Research Institution | Kochi University |
Principal Investigator |
仁子 陽輔 高知大学, 教育研究部総合科学系複合領域科学部門, 助教 (20782056)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 蛍光 / ピレン / 生体二光子蛍光イメージング / 脳血管イメージング |
Outline of Annual Research Achievements |
神経疾患・血管障害を始めとする種々の難治性疾患の機構解明や治療法の開発には、疾患モデル動物における疾患部位を高い時空間分解能で観察する造影技術が不可欠である。この点において、二光子蛍光イメージング(2PM)はサブミクロンオーダーの高い空間分解能をもち、既にマウスやコモンマーモセットといったモデル動物の脳神経・脳血管の観察に利用されている有望な光学技術である。一方、2PMでは、生体深部(例:マウスの脳海馬領域における血管)を撮影する際に、1画像あたりの撮影時間が1秒ほどかかってしまうため(=時間分解能が低い)、ミリ秒スケールで生じる生体内動態の変化を検出することが難しい点に問題があった。そこで本研究では、2PMで併用する蛍光プローブを超高輝度化することにより、この2PMの時間分解能に関する欠点の克服に取り組むこととした。より具体的には、マウスの脳海馬領域の血管を、1画像当たり0.01秒以下で撮影可能することを達成目標とした。 本研究ではまず、高い二光子吸収性と蛍光量子収率を有するピレン誘導体LipoPYF5に着目した。LipoPYF5は、二光子蛍光顕微鏡に装備されているチタンサファイアレーザーの高出力波長帯(960 nm)の照射で効率的に発光させることができ、さらにLipoPYF5が発する赤色の蛍光は同じく同蛍光顕微鏡に装備されているGaAsP蛍光検出器によって高感度に検出することができる。そうしたLipoPYF5を、ナノエマルジョンと呼ばれる、脂溶性物質の包摂性と生体適合性に優れた有機ナノ粒子の内部に高密度集積させることで、大量のLipoPYF5をマウスへ導入することが可能となった。その結果、マウスの脳深部領域(海馬CA1領域、脳表面から1.1 mm)の血管を、120 fps という高いフレームレート、すなわち1画像当たり0.01秒以下で撮影することに成功した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
本研究計画では、当初、新規なピレン誘導体蛍光物質を合成することで、「2PMによるマウス脳海馬領域血管の高速画像取得」を目指していた。しかし、蛍光顕微鏡で用いられているレーザーや検出器の性能と、それらがマウス脳血管の2PMにおよぼす効果を詳細に検討した結果、筆者の研究室にて以前に合成されたLipoPYF5を利用することが最適であると判断された。新規色素合成を一時中止した結果、1年で上記の目標を達成するに至った。
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Strategy for Future Research Activity |
上記のように、本研究計画の目標は既に達成している。一方で、これまでに得られたマウス脳海馬領域の血管画像はシグナル/ノイズ比が低く、いまだ改善の余地が残る。そこで2年目では、本来の研究計画にあった、近赤外域で蛍光を放射する新規蛍光色素を合成する。これを用いることにより、生体由来の自家蛍光が抑制でき、高速2PMにおいてもより高品質な画像を取得できると期待されるためである。
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Research Products
(2 results)