2020 Fiscal Year Research-status Report
Arbitrary control of molecular ordering in chiral liquid crystals enabling the development of various optical elements
Project/Area Number |
20K15249
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Research Institution | Ritsumeikan University |
Principal Investigator |
久野 恭平 立命館大学, 生命科学部, 助教 (30822845)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | キラル液晶 / らせん軸 / 濃度勾配 / 回折光学素子 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は,優れた光学特性を示す有機薄膜の創製を目的として,高分子フィルムにおいて1~3次元にわたる自在な分子配向を制御する新手法を構築することを最終目標とする。1~3次元にわたる分子配向構造が制御できれば,多彩な回折光学素子,反射光学素子の開発に資する。本研究では,多次元的な分子配向制御における鍵材料として,自発的な1次元らせん状分子配向構造を形成するキラル液晶に着目し,らせん構造の方向制御が可能な新手法について探求するとともに,らせん構造に由来する光学機能を解析することを目的とした。さらに,液晶材料の分子配向構造は外部刺激により可逆的に制御可能であるため,チューナブル光学素子への展開も期待できる。本年度は,まず高分子濃度勾配によるらせん構造の方向制御について検討した。濃度勾配下では,勾配方向に従って連続的に液晶相転移温度が変化するため,らせん軸方向が一方向に配列することが期待できる。具体的には,光重合性キラル液晶に対して,空間的な強度勾配を有するパターン光を照射し,誘起される分子配向構造について検討した。その結果,得られたフィルムの偏光顕微鏡観察を行ったところ,光強度勾配に対して平行な格子ベクトルを有する周期的な明暗が観察された。この周期は,用いた材料系におけるらせん周期と同等であり,らせん軸方向が制御されたことを示唆している。また,このフィルムに直線偏光のレーザー光を入射したところ,光回折を示し回折光学素子として利用できることを確かめた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究はキラル液晶を基盤とした新規分子配向制御技術の開発と作製した材料の光学機能解析が目的である。特に,光重合により形成した濃度勾配により多次元的な分子配向構造を形成する点が特色である。本年度においては,研究実績の概要で述べた通り,光重合により周期的な分子配向構造を形成することに成功しており,また,その光学物性測定を行うことで回折光学素子としての応用可能性についても検討した。したがって,研究は概ね順調に進展しており,当該年度の当初の目的は達成したと判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
本手法は原理的に,多彩な材料系へと展開できるとともに,多様な分子配向構造の形成が可能だと考えられる。 そこで,研究計画に従って,引き続き (i) メカニズムの解明,材料組成や分子構造が分子配向構造に与える影響の検討 (ii) 本手法による新規光学素子の創製 を行う。特に(i)により得た知見を元に多彩な配向パターニングを達成することで,(ii)における回折レンズの作製やチューナブル光学素子への展開を目指す。
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Causes of Carryover |
本年度では,作製した材料の高度な光学物性を測定するために,ナノ秒パルスレーザーを購入した。レーザー光学系がさらに充実することで,より詳細な光学物性測定が可能となるため,本年度の残額を翌年度分に加えることとした。
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Research Products
(17 results)