2021 Fiscal Year Annual Research Report
高選択的かつ段階的な白金錯体の合成法を用いた大環状ヤヌスベルトの合成と機能化
Project/Area Number |
20K15250
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Research Institution | Kwansei Gakuin University |
Principal Investigator |
井上 僚 関西学院大学, 生命環境学部, 助教 (30844675)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 白金錯体 / ポルフィリン / ヘテロトリプチセン |
Outline of Annual Research Achievements |
当初の研究計画 本研究では、申請者が開発した”高収率・高選択的な非対称白金錯体の合成法"(Eur. J. Inorg. Chem. 2020, 3959-3966.)を活用し、環状ヤヌス型分子の合成を試みた。ビスイミノピロリル骨格を有する配位子とZeise’s dimerを塩基存在下錯形成を行うことで、ヤヌス型環状錯体前駆体を収率40%程度で選択的に得ることができた。その後、TMEDA存在下モノイミノピロリル配位子との錯形成でベルト状ヤヌス二核白金錯体を収率76%で選択的合成することができた。しかしながら、本手法を環状分子合成へと応用することはできなかった。これは不溶性の高分子錯体が析出するためであると考えられる。当初の研究計画は達成できなかったものの、本合成法はこれまでにない非対称ポルフィリノイドの新しい合成法へと発展させることができた。
ピロール環を有するヘテロトリプチセンの合成 トリプチセンは機能性材料のカギ骨格として着目されているが、ヘテロ環が直接[2.2.2]ビシクロオクタン骨格に結合したヘテロトリプチセンの合成は未だ稀である。本研究では、申請者が開発したDielsAlder 反応活性な[2.2.2]ビシクロオクタン骨格を用い、ピロール環を二つ有するヘテロトリプチセンの合成に成功した。得られた化合物は、NH-π相互作用による2D ヘキサゴナルアレイを形成し、ヘテロ環に由来したユニークな分子内CT発光を示した。本研究成果は、欧州の化学誌(Eur. J. Org. Chem. 2022, e202200041(1-7) )に掲載された。
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