• Search Research Projects
  • Search Researchers
  • How to Use
  1. Back to project page

2020 Fiscal Year Research-status Report

種々の元素で架橋したプラナーボラン類の創製とプラナーボラン二量体ホストの機能開発

Research Project

Project/Area Number 20K15253
Research InstitutionTohoku University

Principal Investigator

北本 雄一  東北大学, 工学研究科, 助教 (50781382)

Project Period (FY) 2020-04-01 – 2023-03-31
Keywordsホウ素 / トリアリールボラン / 芳香族求核置換反応 / リチオ化 / 平面構造 / ルイス酸 / 蛍光
Outline of Annual Research Achievements

トリアリールボランは優れた電子受容性を示すことから、光・電気エネルギーを変換・蓄積可能な材料などとして重要である。本研究では、三つのアリール基を種々の架橋基により環状に架橋することで構造を安定化したトリアリールボラン(プラナートリアリールボラン)の合成法を確立し、センシング材料やイオン伝導体の開発を目指す。本年度は主に以下の成果を得た。
1)種々の架橋基をもつプラナートリフェニルボランの合成:従来は、ヒドロキシ基の分子内芳香族求核置換による閉環反応によってオキソ基によって架橋されたプラナートリフェニルボランを合成できることが分かっている。今回新たに、ベンジルアミンを求核種とする連続的分子間・分子内芳香族求核置換反応により、二つのオキソ基と一つのベンジルイミノ基で架橋されたプラナートリフェニルボラン2の合成に成功した。2のベンジル基の脱保護によりイミノ基(-NH-)に変換することも成功している。今後、この窒素原子上に種々の置換基を導入することが期待できる。また、今回新たに、フェニルイミノ基によって架橋されたベンゼン三量体誘導体の位置選択的メタル化と続くボリル化を見出した。この鍵反応により、二つのフェニルイミノ基と一つのオキソ基で架橋されたプラナートリフェニルボラン4の合成にも成功している。これらのN-,O-ハイブリッド架橋体の合成は他の方法では難しく、本研究の成果は、架橋基として異種元素を組み合わせる方法論として今後の展開が期待できる。
2)プラナートリフェニルボランによるセンシング:当初の予定では次年度に検討予定であったが、基礎的な知見を得るためにフッ素アニオンとの錯形成について検討した。その結果、1)において合成したN-,O-ハイブリッド架橋体はフッ素アニオンに対して非常に高い会合定数を示し、UV-vis吸収・発光スペクトルによりセンシングできることを見出した。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

本研究では、種々の架橋基を有するプラナートリフェニルボランの合成を基軸に、架橋基による分子物性のチューニングや、プラナートリフェニルボランの平面性とルイス酸性を活かした分子間のルイス酸性を利用した機能性材料の開発に取り組んでいる。
研究計画として、1)種々の架橋基をもつプラナートリフェニルボランの合成(令和2年度)、2)プラナートリフェニルボランによるセンシング(令和3年度)、3)ルイス酸性を利用したイオン伝導体の開発(令和4年度)、を掲げている。本年度は当初の計画通り、1)の取り組みによりN-,O-ハイブリッド架橋型プラナートリフェニルボランの合成法の確立という進展を得ることができた。また、令和3年度に検討予定のセンシングの基礎的知見を得ることにも成功している。特に、1)の二つのオキソ基と一つのフェニルイミノ基で架橋したプラナートリフェニルボランについては、X線結晶構造解析により平面分子構造やパッキング構造、分光分析により発光特性の評価にも成功しており、その成果をまとめた投稿論文も報告している。

Strategy for Future Research Activity

令和3年度は、当初の計画に従い、また本年度得られた知見をもとに、以下の検討を行う。
1)架橋基への酸素原子や窒素原子以外の元素の導入法の確立:令和2年度の検討により、プラナートリフェニルボランの合成における鍵反応の一つである位置選択的リチオ化が、窒素架橋基においても適用可能なことなどを新たに見出した。そこで、さらなる異種元素の導入を目指し、硫黄やセレンなどのカルコゲン架橋体の合成を目指す。
2)プラナートリフェニルボランによるセンシング:令和2年度の検討において、フッ素アニオンとのルイス酸・塩基付加物形成によりプラナートリフェニルボランもルイス酸性を示すことを明らかにした。そこで、オキソ基で架橋されたプラナートリフェニルボランなどについて、ホウ素周りに立体障害を有さないことや分子構造の平面性を活かし、従来のトリアリールボランではルイス酸・塩基付加物形成が困難なルイス塩基などのセンシングについて検討する。さらに、その付加物形成の安定性向上や会合定数の向上をめざし、プラナートリフェニルボランをユニットとするホスト分子合成についても試みる。

Causes of Carryover

コロナウイルス蔓延防止のため、参加を予定していた学会の中止やオンライン開催への変更により、旅費等の未消化予算が生じている。また、コロナウイルス蔓延防止対策の一環として研究室活動の制限が発生し、これに応じて当初予定していた消耗品等の購入量の低減に伴う未消化予算が生じている。さらに、当初予定していたスピンコーターの購入を次年度以降に変更したことに伴う未消化予算が生じている。これらの予算は、次年度の予算と合わせて、本研究の遂行のために必要な薬品・溶剤等の消耗品の購入費、学会への参加費・旅費などに充てる予定である。

  • Research Products

    (3 results)

All 2021 2020

All Journal Article (1 results) (of which Peer Reviewed: 1 results) Presentation (2 results)

  • [Journal Article] Synthesis of an azadioxa-planar triphenylborane and investigation of its structural and photophysical properties2021

    • Author(s)
      Kitamoto Y.、Oda K.、Ogino K.、Hiyama K.、Kita H.、Hattori T.、Oi S.
    • Journal Title

      Chemical Communications

      Volume: 57 Pages: 2297~2300

    • DOI

      10.1039/d0cc08331c

    • Peer Reviewed
  • [Presentation] N,O-ハイブリッド架橋型プラナートリフェニルボランの合成とハイブリッド架橋基が光学特性に与える影響2021

    • Author(s)
      小川敦也、北本雄一、小田一磨、荻野公平、檜山邦雄、大井秀一、服部徹太郎
    • Organizer
      日本化学会第101回春季年会
  • [Presentation] Synthesis and optical and Lewis acidic properties of planar triphenylborane with the phenyl groups bridged by oxo and phenylimino groups2020

    • Author(s)
      Atsuya Ogawa, Yuichi Kitamoto, Kazuma Oda, Kohei Ogino, Shuichi Oi, Tetsutaro Hattori
    • Organizer
      令和2年度化学系学協会東北大会

URL: 

Published: 2021-12-27  

Information User Guide FAQ News Terms of Use Attribution of KAKENHI

Powered by NII kakenhi