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2021 Fiscal Year Research-status Report

種々の元素で架橋したプラナーボラン類の創製とプラナーボラン二量体ホストの機能開発

Research Project

Project/Area Number 20K15253
Research InstitutionTohoku University

Principal Investigator

北本 雄一  東北大学, 工学研究科, 助教 (50781382)

Project Period (FY) 2020-04-01 – 2023-03-31
Keywordsホウ素 / プラナートリフェニルボラン / 芳香族求核置換反応 / 位置選択的リチオ化 / ルイス酸 / センシング / 固体電解質 / トリアリールボラン
Outline of Annual Research Achievements

トリアリールボランは優れた電子受容性を示すことから、本研究では、アリール基のオルト位どうしを種々の架橋基により環状に架橋することで構造を安定化したトリアリールボラン(プラナートリアリールボラン)の合成法を確立し、センシング材料やイオン伝導体への展開を目指す。本年は主に以下の成果を得た。
1)種々の架橋基をもつプラナートリフェニルボランの合成:二つのオキソ基と一つのイミノ基(-NH-)で架橋されたプラナートリフェニルボランを基質として、窒素上への種々の置換基の導入を検討した。パラジウム触媒を用いたヨードベンゼンとのカップリング反応により、架橋窒素上にフェニル基を導入したN-フェニルイミノ体を94%の高収率で得られる条件をみいだした。種々のアリールヨージドについて本手法を適用したところ、電子供与性基・吸引性基を有するアリール基を導入した類縁体も高収率で得ることに成功した。従来、架橋窒素上の置換基は出発基質で選択する必要があったのに対し、本研究の成果は、目的に応じて合成終盤にアリール基を選択できる方法論といえる。
2)プラナートリフェニルボランによるセンシング:架橋構造としてオキソ基とフェニルイミノ基の組み合わせ数を変えた類縁体を用いて、ピリジンに対する会合定数を比較した。フェニルイミノ基の数が多くなるほど会合定数が低下し、計算化学を用いた考察により、立体障害とホウ素の電子受容性が変化することが主たる要因であることを見出した。
3)プラナートリフェニルボランからのイオン伝導体の調製:当初の予定では次年度に検討予定であったが、基礎的な知見を得るためにオキソ基で架橋した類縁体と種々のLi塩を混合、ペレットに成型し、伝導率測定を行った。組み合わせによって10^(-4) S/cmを超える伝導率が得られたことから、今後更なる検討により固体電解質に必要とされる10^(-3) S/cmを目指す。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

本研究では、種々の架橋基を有するプラナートリフェニルボランの合成を基軸に、架橋基による分子物性のチューニングや、プラナートリフェニルボランの平面性とルイス酸性を活かした分子間のルイス酸性を利用した機能性材料の開発に取り組んでいる。
研究計画として、1)種々の架橋基をもつプラナートリフェニルボランの合成(令和2年度)、2)プラナートリフェニルボランによるセンシング(令和3年度)、3)ルイス酸性を利用したイオン伝導体の開発(令和4年度)、を掲げている。本年度は、1)の取り組みにより得たN,O-ハイブリッド架橋型プラナートリフェニルボランについて、窒素上置換基の変換法の確立という進展を得ることができた。2)については、UV-Vis吸収あるいは発光センシングの要となるホウ素のLewis酸性について、架橋構造との関係について知見を得ることができた。一方で、トリメシチルボランのような従来のトリアリールボランでは錯形成が困難なゲスト(Lewis塩基)のセンシングについては進捗が遅れている。また、3)については、令和4年度に検討予定のイオン伝導体の基礎的知見として、プラナートリフェニルボランが固体状態でLiイオンを移動させることが可能なことも見出している。

Strategy for Future Research Activity

令和4年度は、当初の計画に従い、また本年度得られた知見をもとに、以下の検討を行う。
1)架橋基への酸素原子や窒素原子以外の元素の導入法の確立:架橋基として硫黄(チオ基)の導入を達成するために、チオ基のオルト位選択的リチオ化や、合成終盤の分子間芳香族求核置換反応を詳細に検討することで、X,S-ハイブリッド架橋型プラナートリフェニルボラン(X = N,O)の合成を検討する。
2)プラナートリフェニルボランによるセンシング:立体障害による速度論的安定化を施したトリメシチルボランでは錯形成な困難なゲスト(Lewis塩基)を中心に、UV-vis吸収スペクトルや発光スペクトル測定を駆使してセンシングを検討する。
3)ルイス酸性を利用したイオン伝導体の開発:固体電解質に必要とされる10^(-3) S/cmを超える伝導率を達成することを目的として検討する。令和3年度の検討により、プラナートリフェニルボランとLi塩の混合によっても良好な伝導率を示すことを見出したことから、Li塩の組み合わせについてさらに検討を進める。
また、2)と3)については、当初はLewis塩基との効果的な錯形成のためには二量体ホスト構造が必須と考えていたが、特に3)の検討で二量体ホスト構造を有さない類縁体でも目的の機能を発現する結果が得られている。そこで、プラナートリフェニルボランをユニットとする新規ホストの合成・応用だけでなく、これまで合成した類縁体を用いた機能開発も柔軟に進める。

Causes of Carryover

当初予定していたスピンコーターの購入に際し、所望の結果を得ることができる装置の仕様の選定と、デモ測定に予想より時間を要したため、令和4年度に購入を変更したことに伴う未消化予算が生じている。また、新型コロナウイルス収束が世界的に長期化したことを背景に、その蔓延防止対策を講じることによる未消化予算が生じている。例えば、従来対面で行っていた学会やシンポジウムのオンライン開催への変更による旅費の未消化予算や、大学のBCPレベルに応じた研究室活動の制限による消耗品等の購入量の減少に伴う未消化予算が発生している。これらの予算は令和4年度の予算をあわせて、本研究の遂行のために必要な薬品・溶剤等の消耗品の購入費、装置等(スピンコーター等)の購入、学会への参加費・旅費などに充てる予定である。

  • Research Products

    (3 results)

All 2022 2021

All Presentation (3 results)

  • [Presentation] N,N-架橋型トリフェニルボラン類の合成と高色純度遅延蛍光の評価2022

    • Author(s)
      小川敦也、北本雄一、小田一磨、一杉俊平、高秀雄、檜山邦雄、北弘志、大井秀一、服部徹太郎
    • Organizer
      日本化学会第102回春季年会
  • [Presentation] N,O-hybrid-bridge-type planar triphenylboranes: Synthesis and effects of the bridging atoms on their photophysical properties and Lewis acidity2021

    • Author(s)
      Atsuya Ogawa, Yuichi Kitamoto, Kazuma Oda, Kohei Ogino, Kunimasa Hiyama, Hiroshi Kita, Shuichi Oi, Tetsutaro Hattori
    • Organizer
      令和3年度化学系学協会東北大会
  • [Presentation] Synthesis and properties of heteroatom-bridged planar triphenylboranes and related compounds2021

    • Author(s)
      Yuichi Kitamoto
    • Organizer
      令和3年度化学系学協会東北大会

URL: 

Published: 2022-12-28  

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