2022 Fiscal Year Annual Research Report
種々の元素で架橋したプラナーボラン類の創製とプラナーボラン二量体ホストの機能開発
Project/Area Number |
20K15253
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
北本 雄一 東北大学, 工学研究科, 助教 (50781382)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | ホウ素 / プラナートリフェニルボラン / ルイス酸 / ボラート錯体 / 固体電解質 / リチウム伝導 / センシング / 有機電子材料 |
Outline of Annual Research Achievements |
ホウ素に三つのアリール基が結合したトリアリールボランは優れた電子受容性を有する。本研究では、フェニル基のオルト位どうしを種々の架橋基により環状に架橋することで安定化した化合物(プラナートリフェニルボラン)の合成法を確立し、センシング材料やイオン伝導体への展開を目指す。本年度は主に以下の成果を得た。 1)プラナートリフェニルボランによるセンシング:架橋構造として酸素原子(オキソ基)を有する化合物1を用いて、種々のアニオンとの会合体の形成について評価した。トリメシチルボランのようにホウ素を立体的に保護した化合物では、サイズが大きくソフトな分子イオンとの会合体の形成は困難なのに対し、1は種々の分子アニオンや臭化物イオンなどと錯形成が可能なことを見出した。会合体形成の有無や様子は、吸収スペクトル変化により容易に判断が可能である。また、DFT計算を用いたスペクトルシミュレーションなどにより吸収帯の帰属や、化合物のルイス酸性度についての評価も行った。 2)プラナートリフェニルボランからのイオン伝導体の調製:前述のセンシングで得た知見を元に、種々のカウンターアニオンを有するLi塩と1を混合することで、固体電解質であるペレットを調製した。交流インピーダンス法により各ペレットについて測定を行い、Li伝導性の評価基準の一つである伝導率を算出した。Li塩に四フッ化ホウ酸リチウムやトリフルオロメタンスルホン酸リチウムを用いた1との混合ペレットにおいて、最大4×10^(-3) S/cmの伝導率を得ることに成功した。 3)Li伝導率の更なる向上を志向したホスト分子の合成:二分子の1が向かい合ったホスト分子の合成を目指し、1のホウ素のパラ位に官能基を導入した分子の合成について検討した。閉環前の1のホウ素に対してパラ位にホルミル基を導入した前駆体が、混合物として得られたことを質量分析法により確認した。
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