2021 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20K15261
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Research Institution | Nara Institute of Science and Technology |
Principal Investigator |
松尾 恭平 奈良先端科学技術大学院大学, 先端科学技術研究科, 助教 (00778904)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 有機半導体 / 有機電界効果トランジスタ / 典型元素 / リン |
Outline of Annual Research Achievements |
前年度に引き続きリン原子を組み込んだホスファアセン類の合成に取り組んだ。これまで二つのピリリウム環を組み込んだヘテロアセンの合成に成功し、それを中間体としてホスファアセン類への変換を試みていたが、期待した結果は得られなかった。そこでブロモ置換基を有するジアリールメタン中間体を合成し、そこに有機金属試薬を作用させ、続いてリン試薬を用いる合成法を検討した。種々反応条件を検討した結果、五環式のホスファアセンを中程度の収率で合成した。また出発物を修飾することによりアルキル基が置換した誘導体の合成にも成功した。得られた化合物のX線結晶構造解析の結果、骨格の平面性は高く、期待通り典型的なパイスタックによる密な積層構造をとることが明らかになり、有機半導体として働くことが予想された。また各種分光測定および電気化学特性の結果から、リンを炭素に置き換えた比較化合物よりもHOMO-LUMOギャップが減少し、特にLUMOの安定化が顕著で合ったことから、今後n型有機半導体の開発にも有望であることが示唆された。合成した化合物を用いてシリコン基板上に薄膜の作製を行ったところ、ディップコート法により連続的な薄膜を得ることができた。またドロップキャスト法により、トランジスタ素子作製に適した板状の単結晶を作成することができた。作製した薄膜および単結晶に対して、真空蒸着法により金を電極として成膜した電界効果トランジスタ素子の作製を試みたが、化合物の熱安定性が低く、薄膜および単結晶の相転移が確認され電荷輸送特性の評価には至らなかった。今後は素子構造を変え電荷輸送特性の評価を進める予定である。
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