2023 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20K15262
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Research Institution | Fukuoka University |
Principal Investigator |
宮崎 隆聡 福岡大学, 理学部, 助教 (70788504)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 多環芳香族炭化水素 / 蛍光ソルバトクロミズム / 構造有機化学 |
Outline of Annual Research Achievements |
多環芳香族炭化水素はベンゼン環の縮環形式によって種々の電子状態や安定性を持ち、それらに起因した光物性を示す。本研究はY字型多環芳香族炭化水素を合成し、その電子状態や機能性を明らかとすることを目的として研究を展開した。まず、Y字型多環芳香族炭化水素を分子設計するにあたり、2,3-ナフタルイミドを基盤とすることを考えた。ナフタルイミドは電子アクセプター性を示し、電子ドナー性のアリール基を縮環させるとpush-pull構造を構築することができる。また、イミド上の窒素に種々のアルキル鎖を導入することができるため、得られた化合物の溶解性が向上することも期待できる。この2,3-ナフタルイミドにベンゾチオフェンを2つ縮環させることでY字型多環芳香族炭化水素1を分子設計した。ベンゾチオフェンは電子豊富なチオフェン環を持つため、電子ドナーとして機能する。また、ベンゾチオフェンとの比較のため、ベンゾチオフェンの代わりにベンゾフランを縮環させた化合物2も合成目的物とした。1と2の合成は市販試薬から3段階で達成することができた。まず、1と2の電子状態を明らかとするため、吸収と蛍光スペクトル測定を行った。種々の溶媒を用いて測定を行ったところ、1と2は蛍光ソルバトクロミズム特性を示すことが明らかとなった。特に1はシクロヘキサン中では青色蛍光を示した一方で、メタノール中では黄色蛍光を示した。以上のように、本研究によってY字型多環芳香族炭化水素にpush-pull構造を導入することによって発現する興味深い特性を明らかとすることができた。
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