2021 Fiscal Year Annual Research Report
Creation of Intramolecular Singlet Fission System Generating High-energy Multiexciton
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20K15264
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Research Institution | Osaka Prefecture University |
Principal Investigator |
松井 康哲 大阪府立大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (90709586)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 一重項分裂 / エネルギー移動 / 三重項ー三重項消滅 / 多重励起子 / 太陽光利用 |
Outline of Annual Research Achievements |
シングレットフィッション(一重項分裂,SF)が,1光子から2つの励起子を取り出すことができる分子技術として注目されている.本研究では,高効率な分子内SF系を構築し,高エネルギーかつ長寿命の多重励起子を生成させ,SFで生じた励起子の有効利用のための学理を確立することを目的とした.それを達成するため,sp3炭素骨格からなる非共役リンカーを用いて,π電子系の相対配置を三次元的に変化させたダイアドにより分子内SFを実現することを狙った.これにより,モノマーのESやETを維持したまま,強いスルースペース相互作用によりSFを起こし,なおかつTTAを抑制し,長寿命励起子を実現する点が特徴となる. 2021年度は,新規ダイアドの合成研究を行った.テトラセンをC1骨格により連結にするダイアドの合成ルートを検討したが.合成ルートは比較的煩雑となり,コロナ禍もあり十分な検討が行えなかった.一方,合成がより容易と考えられる,Si1骨格での連結を検討した.試験的に,テトラアリールシランの誘導体の合成を行うことができたため,合成ルートを検討したところ,前駆体までの合成を行うことができた.ジメチルジクロロシラン,ジフェニルジクロロシラン等,様々な前駆体が市販となっているため,幅広い誘導体の合成が可能であると期待できる. また,新規骨格として,より高いETを有するSF材料の開発のための量子化学計算と合成実験を行った.ジアリールジヒドロペンタレンジオンを3種類合成し,基礎物性評価を行うところまで達することができた.リン光の観測が困難であったため,重原子を含む溶媒でS0-T1遷移の測定を行うと,ES>2ETの関係を満たすことがわかり,新規材料として有望であることがわかった.
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Remarks |
原著論文の一部はChemRxivでプレプリントを公開している.
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Research Products
(19 results)