2020 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20K15266
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Research Institution | Ritsumeikan University |
Principal Investigator |
浦川 一樹 立命館大学, 立命館グローバル・イノベーション研究機構, 助教 (40838942)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 非平面型π電子系イオン / 酸化還元触媒 / 円偏光発光 / 強誘電体 / 半導体 |
Outline of Annual Research Achievements |
非平面型π電子系の1つとして、ねじれ型π電子系イオンの合成に着手した。アニオン応答性π電子系にカチオン性ユニットを連結させることで対アニオンを会合部位に固定し、母骨格であるπ平面上にアニオン・カチオンの電荷を配置させた双性イオン構造を形成することができる。分子設計として、アクリジニウムカチオンの導入により、ピリミジンπ平面とピリジンπ平面がねじれ、アニオン性部位とカチオン性部位が局在化することを明らかとしている。アクリジニウム置換ジピロリルピリミジンの合成方法を確立し、蛍光スペクトル・過渡吸収スペクトルなどの分光測定により、電子供与性部位から電子受容性部位への光誘起電子移動(PET)を示唆する結果を得た。 一方、湾曲型π電子系イオンであるボウル状スルホニウムカチオン誘導体を設計した。DFT計算により湾曲型構造を確認でき、ESP計算から凹面より凸面の方が正の分極が大きいことを確認した。すなわち、この特性を利用し、イオンペア形成において対となるアニオンの形状や電子状態に応じた集合体形態の変調が予想される。ボウル状スルホニウムカチオンの合成では、環化前駆体の合成まで行い、トリアリールスルホニウムカチオンを3種の異性体混合物として得ることができた。これらの異性体は種々分離剤を用いた精製を行ったが、分離が困難であったため、混合物のまま分子内芳香族求核置換反応を行い、ボウル状スルホニウムカチオンへの変換を種々の条件で検討した。また、異性体が生成しない効率的な合成ルートの構築も行った。
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