2021 Fiscal Year Annual Research Report
キラルブロモニウム塩の開発を基盤とする新規不斉ハロゲン結合触媒の創製
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20K15271
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| Research Institution | Chiba University |
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Principal Investigator |
吉田 泰志 千葉大学, 大学院工学研究院, 助教 (10773963)
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| Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2022-03-31
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| Keywords | 不斉触媒 / ハロゲン結合 / ブロモニウム塩 / ヨードニウム塩 / 不斉合成 |
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| Outline of Annual Research Achievements |
ハロゲン結合とは電子不足なハロゲン原子とLewis塩基との間に形成される非共有結合性相互作用であり，その有機合成における応用が近年盛んに行われている。ハロゲン結合の不斉触媒分野における応用も行われているものの成功例は少なく，広く応用研究が行われるためには更なる触媒開発が求められていた。本研究では，これまでに例の無いブロモニウム塩によるハロゲン結合に着目し，その不斉触媒としての応用による新規研究分野の開拓を目的とした。
今年度は当初の計画通り，ブロモニウム塩を触媒とする新規反応の開発と，高選択性を達成できる触媒の開発を行った。前年度に開発したブロモニウム塩による触媒機能を不斉触媒へと応用すべく，キラルブロモニウム塩の合成を行った。市販品から数段階で得られる分子の環化反応によりキラルブロモニウム塩の合成に成功した。得られた分子をシアノメチルクマリンのイミンへの付加反応において触媒として用いたところ，生成物が最高96% eeで得られ優れた不斉触媒として機能することがわかった（ACS Catal. 2021, 11, 13028）。続いて，合成したブロモニウム塩の合成経路から，中心原子を臭素からヨウ素へ変えたキラルヨードニウム塩の合成が可能であると考え，その合成を行った。得られたキラルヨードニウム塩をかさ高いチオールのイミンへの付加反応へ適用したところ，生成物が最高97% eeで得られることがわかった（Adv. Synth. Catal. 2022, 364, 1091）。
研究期間全体の成果を総括すると，2020年度に高活性なブロモニウム塩の応用研究に成功し，2021年度にそのキラルバージョンの開発と不斉反応への応用により生成物を高い立体選択性で得ることに成功し，さらに，キラルヨードニウム塩触媒の開発も達成した。これらの成果は当初の計画を上回るものである。
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