2020 Fiscal Year Research-status Report
アミドの合成や加アルコール分解反応に優れたアルコキシ架橋二核卑金属錯体触媒の開発
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20K15277
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
長江 春樹 大阪大学, 基礎工学研究科, 助教 (40779005)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | アミド / エステル化 / マンガン / カリウム / ニッケル / 銅 / 異種二核金属錯体 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、アミドの合成や加アルコール分解反応に優れたアルコキシ架橋二核卑金属錯体触媒の開発を研究目的とし、アルコキシ基で架橋された四核キュバン型卑金属錯体前駆体やマンガンーカリウム異種金属二核錯体を触媒としたアミドの切断反応について研究を進めてきた。2020年度は、マンガンーカリウム異種金属二核錯体を触媒としたアミドのエステル化反応に注力し、異種金属二核錯体が同種二核金属錯体よりも高い触媒活性を示すことを見出し、さらに、速度論解析および量子化学計算に基づき、本反応の反応メカニズムを明らかにした。これらの研究は、既に学術論文としてChemistry - A European Journalに報告している(Chem. Eur. J., 2020, 26, 10735)。また、本報告は安定なアミド結合を容易に切断する反応であり、その反応機構解明を徹底的に行った点が評価され、journalのカバーピクチャーに採用された(Chem. Eur. J., 2020, 26, 10643、およびChem. Eur. J., 2020, 26, 10647)。また、現在2つの異なる金属を用いた反応として、ニッケルと銅を用いた新たな分子変換反応に着手しており、論文投稿段階にある。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
現在、研究計画に記載した3つの目標のうち、アルコキシ架橋キュバン型錯体を触媒とする反応、およびマンガンーカリウム異種二核金属錯体を触媒とした反応をすでに達成していることから、進捗状況は極めて順調であると言える。また、2つの異なる金属を触媒とした新たな反応の開発にも成功しており、既に学術論文として投稿段階にあり、新たな研究の開拓も順調に進んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の研究として、課題3として設定した「アルコキシ架橋卑金属錯体を担持した固体触媒の開発」を行っている段階であり、現在固体表面に亜鉛やニッケルなどの触媒を担持することに成功した段階にある。今後、これらの固体触媒を用いて、アミドのエステル化やエステル交換反応などに展開する計画である。また、ニッケルと銅を用いた新たな分子変換反応をさらに展開することも計画している。
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Causes of Carryover |
今年度はコロナ禍の影響で実験を出来る日数が例年に比べて大幅に減少したため、物品費が予定よりも少なくなった。また、出張も無くなり、学会がオンライン開催になったことから、旅費も使用しなかった。その分論文の執筆に注力し、論文の執筆投稿費用や学会の参加費にその他の財源を充てた。
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Research Products
(7 results)