2021 Fiscal Year Research-status Report
アミドの合成や加アルコール分解反応に優れたアルコキシ架橋二核卑金属錯体触媒の開発
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20K15277
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
長江 春樹 大阪大学, 基礎工学研究科, 助教 (40779005)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 異種金属二核錯体 / 異種金属四核錯体 / デュアル触媒 / 空気酸化 / 光触媒 / 非天然アミノ酸 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、二核卑金属錯体触媒の開発を研究目的とし、アルコキシ基で架橋された四核キュバン型卑金属錯体前駆体やマンガンーカリウム異種金属二核錯体を触媒としたアミドの切断反応について研究を進めてきており、既に学術論文として Chemistry - A European Journalに報告しカバーピクチャーに採用された(Chem. Eur. J., 2020, 26, 10735; Chem. Eur. J., 2020, 26, 10643; Chem. Eur. J., 2020, 26, 10647)。2021年度は、類似の亜鉛4核金属錯体を用いることで、化学選択的なトランスエステル化が進行することを見出した(Catal. Sci. Technol., 2021, 11, 6975.)。さらに、二核錯体を多核錯体に拡張し、種々の反応の検討路行ったところ、1つの希土類金属と3つのニッケルを含有する異種4核金属錯体が炭素水素結合の空気酸化反応の光触媒として機能することを見出した(Chem. Commun., 2021, 57, 11169.)。また、ニッケル錯体と銅錯体の2つの金属錯体をデュアル触媒とした、高立体選択的な非天然アミノ酸誘導体の合成方法を確立し、学術論文として報告した(ACS Catal., 2021, 11, 6643.)。2021年度に発表した研究成果は投稿した雑誌の中で高く評価されており、すべて、雑誌の表紙や裏表紙を飾るに至った。しかしながら、コロナ禍の影響により、さらなる研究が効率よく進められなかったことから、期限を延長し、2022年度は、異種4核金属錯体を用いた二酸化炭素の変換反応や、ニッケル錯体と銅錯体の2つの金属錯体を触媒とした新たな触媒反応の開発を行う予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
コロナ禍の影響により、研究室での活動時間を短縮しており、これまでに発表した研究の発展に関する研究が効率よく進められなかったため。
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Strategy for Future Research Activity |
2022年度は、(1)異種4核金属錯体を用いた、二酸化炭素とエポキシドの交互共重合反応に関する研究、(2)ニッケルと銅のデュアル触媒を用いた、高立体選択的な非天然アミノ酸の新規合成手法の確立の2つについて研究を行い、学術論文として報告する計画である。前者は、すでに、新規連鎖移動剤の開発について論文を投稿しており、また、触媒活性を劇的に向上させる添加剤についての論文を執筆中である。後者については、生成物である新規化合物の同定を完了しており、今年度は、収率と不斉収率の向上について検討を行い、学術論文として報告予定である。
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Causes of Carryover |
コロナ禍の影響で、研究室の稼働時間が減少し、プロジェクトの進度が遅れたため
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