2022 Fiscal Year Annual Research Report
アミドの合成や加アルコール分解反応に優れたアルコキシ架橋二核卑金属錯体触媒の開発
Project/Area Number |
20K15277
|
Research Institution | National Institute of Advanced Industrial Science and Technology |
Principal Investigator |
長江 春樹 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 材料・化学領域, 研究員 (40779005)
|
Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
|
Keywords | アルコキシ架橋錯体 / 多核金属錯体 / 異種金属錯体 / アミド結合活性化 / エステル交換反応 / 二酸化炭素 / 交互共重合 / 空気酸化反応 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、医薬品や高分子材料などに含まれるアミド結合の変換反応(アミドのエステル化反応、アミド合成反応)に優れたアルコキシ架橋二核卑金属錯体触媒系を開発することを目的とする。最終年度は、アルコキシ架橋卑金属錯体触媒を固体担体に担持してフロー型の反応器を設計し、実際にエステル交換反応の検討を行った。担体として、シリカ表面にビピリジンを担持した担体と有機無機複合担体であるPMOを合成し、さらに、アルコキシ架橋亜鉛四核錯体を反応させることで、亜鉛担持触媒を合成した。合成した触媒の同定は、元素分析及び固体NMR測定により行った。実際に反応を行ったところエステル交換反応が効率よく進行することが明らかとなった。また、長時間フロー合成を行っても亜鉛金属のリーチングが起こらずに高い触媒活性を維持することも確認している。この結果は、学術誌であるIndustrial & Engineering Chemistry Researchから報告しており、選択的にエステル交換が進行する固体触媒を開発したことが評価され、雑誌の表紙に採択された。 また、アルコール架橋異種金属四核錯体を触媒とした、二酸化炭素とエポキシドの交互共重合についても検討を行っており、同錯体を触媒として用いたところ、ニトリル化合物やカルボニル化合物が連鎖移動剤として機能することを見出した。この結果は、二酸化炭素とエポキシドの交互共重合において、はじめて炭素求核剤と連鎖移動剤として用いた例であることが、高く評価され Macromolecules に掲載された。 研究期間全体を通して、本研究ではアルコキシ架橋錯体が、アミド化合物のアルコキシ化やエステル交換反応、二酸化炭素とエポキシドの交互共重合、メチレン基の空気反応などの様々な分子変換反応の優れた触媒となることを明らかにした。
|