2021 Fiscal Year Research-status Report
Development of Carbene-Based Bimetallic Complex Catalysts
Project/Area Number |
20K15286
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Research Institution | Chiba Institute of Technology |
Principal Investigator |
原口 亮介 千葉工業大学, 工学部, 助教 (80781369)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | カルベン / 遷移金属錯体 / 異種二核金属錯体 / 遷移金属 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では, カルベン配位子を有する新規異種二核金属錯体の合成法を開発するとともに, ほとんど未開拓分野であるその触媒機能開拓を目指し研究を行った. まず初めに, カルベン配位子の前駆体であるエステル部位を有するトリアゾリウム塩の合成を行った. アニリンから1段階で合成可能なトリアゼンとプロピオール酸メチルとの酸化的[3+2]環化付加反応によりメトキシカルボニル基を有するトリアゾリウム塩を高収率で得た. また, 本反応は不活性ガスを必要とせず, 大スケール(10 mmol)で行うことができることを見いだした. さらに, トリアゾリウム環窒素上の置換基検討を行い, 合計6種類のトリアゾリウム塩が本手法により合成できることを見出した. 続いて, 合成したエステル部位を有するヨードトリアゾリウム塩とt-BuOKとの反応によって, 脱プロトン化と炭素-炭素結合開裂が進行し, その後に分子性ヨウ素と反応させることでジヨードトリアゾリウム塩がほぼ定量的に得られることを見いだした. この結果は, 中間体としてジカルベン中間体が発生していることを示唆するものである.なお, ジヨードトリアゾリウム塩の同定は, 1H NMR, 13C NMRおよびマススペクトルによって行った. さらに, エステル部位を有するトリアゾリウム塩から銀錯体が合成できることを見出した. 今後は, エステル部位を有する銀錯体とt-BuOKを反応させた後に, 金属塩と反応させることで, 様々な異種二核金属錯体の合成を達成する.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
銀錯体は様々な金属錯体へ誘導することができる重要な合成中間体である. 昨年度の研究で, メトキシカルボニル基を有する銀錯体が合成できたことにより, メトキシカルボニル基を有する様々な金属-カルベン錯体が合成できることが示唆された. このメトキシカルボニル基を有する銀錯体は, 1H, 13C NMRによりその生成を確認している. 一方, トリアゾリウム環に置換したメトキシカルボニル基はt-BuOKで処理することでC-C結合切断を伴いながら, カルベンを発生させることができることを既に見出している. これらのことから, カルベン配位子を基盤とする異種二核金属錯体の開発研究は順調に進んでいると考えている.
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Strategy for Future Research Activity |
まずはメトキシカルボニル基を有する銀錯体とt-BuOKを反応させた後に, 金属塩と反応させることで異種二核金属錯体が合成できないか検討する. 目的の錯体はNMR, マススペクトル, およびX線端結晶構造解析によってその合成を確認するとともに, 構造的特徴を明らかにする. さらに, 当初の目的であるイリジウム-アルミニウム二核錯体の合成へと展開し, 合成した錯体を用いて触媒機能をピリジンのC-Hボリル化反応をモデルに評価する.
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Causes of Carryover |
本研究では様々な異種二核金属錯体の合成の際に用いる, 金属塩の購入に消耗品の多くを予定していた. 2021年度の研究ではコロナ禍の影響もあり, 異種二核金属錯体の合成の適用範囲を検討するまで到達しなかったため, 当初想定していた予算を下回ることとなった. 2022年度は異種二核金属錯体の適用範囲を検討していくとともに, 合成した錯体を触媒に用いてピリジン類のホウ素化反応に適用し, その触媒活性を評価していき, 次年度使用経費は当初の予定どおり, 金属塩等の消耗品の購入に充てる.
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