2021 Fiscal Year Research-status Report
環形成過程を含む触媒的ポリチオフェン合成法の提案と実証
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20K15289
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Research Institution | Tokyo University of Science |
Principal Investigator |
荻原 陽平 東京理科大学, 理工学部先端化学科, 講師 (00734394)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | チオフェン / アルキン / 単体硫黄 / [2 + 2 + 1]環化付加 / 触媒 |
Outline of Annual Research Achievements |
2つのアルキン(三重結合分子)と単体硫黄(S8)を出発物質とする[2 + 2 + 1]環化付加反応によって、「チオフェン環を形成しながらポリチオフェンを構築」できる触媒法の創出を目的とする。そのための第一段階として、素反応である「触媒的チオフェン骨格形成反応」の達成を目指し研究を行なった。 初年度(2020年度)、フェニルアセチレンなどの末端アルキンを中心に検討を行なった結果、想定以上の副反応が観測された。そこで当該年度(2021年度)は、1,6-ジインの内部アルキンをモデル基質として、以下(1)(2)(3)の手順で検討を行なった。(1)1,6-ジインの合成 (2)1,6-ジインと単体硫黄を用いた反応 (3)生成物の単離と構造決定 (1)1,6-ジインの合成: マロン酸エステルとプロパルギルブロミドを反応させ、対応する1,6-ジインの前駆体を合成した。この分子の末端アルキン部分を、ハロゲン化アリールとの薗頭-萩原クロスカップリングによって内部アルキンへと誘導した。この二段階の合成法を用いて、いくつかの類縁体の合成も行なった。 (2)1,6-ジインと単体硫黄を用いた反応: 触媒、配位子、溶媒、添加剤、反応温度、反応時間などの各種条件検討の探索を行なった。その結果、特定の触媒条件において、最高60%程度の収率で望む反応の進行を確認できた(論文、学会など未発表のため、詳細は未記載)。 (3)生成物の単離と構造決定: 収率が良かった条件において、生成物の単離を行ない、NMRなどを用いてその構造決定を試みたところ、想定通りのチオフェン誘導体が形成されていることが明らかになった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
見出した反応の収率が頭打ちになる原因の解明に至っていない。そのため現段階では、状況を打開できる要素を見出せないまま、網羅的な触媒条件のスクリーニング研究に終始せざるを得ないことが、「やや遅れている」主な原因である。また、代表者の所属機関の異動とも重なり、研究がやや遅れた。
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Strategy for Future Research Activity |
60%程度の反応の進行を確認できたため、大まかな触媒系の方向性は見出せたと考えていた。しかし反応条件の微調整などでは、収率が全く向上しなかったため、本質的に触媒系を見直した検討を行なう。また、これまで見出した条件をベースとする展開を継続実施するか判断するため、収率が頭打ちになる原因の究明を急ぐ。
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Causes of Carryover |
研究が当初の想定よりやや遅れたことに伴い、予定していたよりも試薬類の購入額が少なかったため。 次年度は試薬類の購入(物品費)に加え、学会参加のための旅費などにも使用する計画である。
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