2021 Fiscal Year Annual Research Report
熱活性化遅延蛍光分子を用いた光レドックス触媒反応の開発
Project/Area Number |
20K15291
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Research Institution | Kwansei Gakuin University |
Principal Investigator |
小田 晋 関西学院大学, 理学部, 助教 (00789901)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 熱活性化遅延蛍光 / 光触媒 / 脱ハロゲン化 / カルバゾール |
Outline of Annual Research Achievements |
近年,光レドックス触媒は,難易度の高い新たな分子変換を生み出す強力なツールとなっている。熱活性化遅延蛍光(TADF)分子は金属を用いずに効率的に光を利用できるにも関わらず,光レドックス触媒としての応用は未だ発展途上である。本研究では,申請者が所属する研究室で開発した有機ホウ素由来のTADF分子(DABNA)の光レドックス触媒への応用を行なった。 まず,光物性の調整を目的として,カルバゾール環を部分構造として有するDABNA類縁体(CzDABNA)の合成を行なった。カルバゾール環を有するホウ素化前駆体に対して,三臭化ホウ素を加え,位置選択的one-shotホウ素化反応を進行させることで,種々のCzDABNAを良好な収率で得ることに成功した。これらの化合物を発光材料として用いた有機EL素子は,青色から緑色の挟帯域発光を示すことを明らかにした。 合成した種々のDABNA類縁体を光レドックス触媒として用いてハロゲン化アリールの脱ハロゲン化反応の検討を行った。青色LED照射下,塩化アリールに対して触媒量のDABNA類縁体を作用させたところ,脱塩素化体を中程度の収率で得ることに成功した。また,低収率ではあるものの,フッ化アリールの脱フッ素化も進行しており,DABNAの極めて高い還元力が明らかとなっている。 さらに,温和な条件下でのカルバゾール環の構築を目的として,光触媒による芳香族ニトロ化合物の還元的環化反応の検討を行なった。光照射下,DABNAの窒素を酸素に置換したDOBNAを光触媒として用いることで,室温でカルバゾールを得ることに成功した。今後,反応条件を精査することにより,収率の向上および基質適用範囲の拡大が期待できる。
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