2020 Fiscal Year Annual Research Report
質量分析計を用いたRNA-タンパク質間相互作用マッピング法の開発
Project/Area Number |
20K15313
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Research Institution | Tokyo Metropolitan University |
Principal Investigator |
八巻 優佳 東京都立大学, 理学研究科, 客員研究員 (80781525)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 質量分析 / プロテオミックマッピング / RNA / 転写後修飾 / LC-MS |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、ノンコーディングRNA(ncRNA)とタンパク質の相互作用を、質量分析計およびデータベースサーチを用いて網羅的にマッピングする方法を開発する。そのために、まずはヒト培養細胞を用いて標的ncRNAと相互作用するタンパク質の発現・精製システムの構築を目指した。 当初の計画では、標的ncRNA近傍のタンパク質をビオチン・リガーゼ変異体であるTurboIDにより触媒する近接依存性標識法を用いる方法を立案した。特徴として、細胞に対する毒性がなく、短時間のビオチンラベリングのため、乖離が早いとされるRNA-タンパク質間相互作用をも明らかにする利点を有する。しかし、これはタンパク質の表面に位置するリジン残基が限定的にビオチン化されるため、ビオチン化がタンパク質のアミノ酸組成により影響を受ける懸念が生じた。そこで本研究では、リジン残基に限らずビオチン化するアスコルビン酸ペルオキシダーゼAPEX2を用いることにした。 細胞に導入するncRNAには、バクテリオファージMS2由来の特異配列(タグ)を付加した。一方、APEX2発現ベクターには、同時にMS2 タグを認識し結合するMS2 コートタンパク質(MS2 coat protein, MCP)配列を組み込んだ。これら2つのベクターとビオチンを同時に細胞に導入すると、MS2タグにMCPが結合し、ncRNA近傍のタンパク質がAPEX2によりビオチン化される。これまでに、ヒト胚性腎臓細胞由来HEK293T細胞にベクターを導入し、ウエスタンブロッティングにてAPEX2が発現されることを確認した。また、細胞内のncRNAベクターの転写状況は、定量PCRにより検証した。ベクターを導入した細胞より抽出したRNAを逆転写し、得られたcDNAを鋳型とした定量PCRにより、導入したncRNAが細胞内で転写されることが明らかになった。
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