2021 Fiscal Year Research-status Report
金属酸化物系固体触媒の表面構造解析のための高磁場固体DNP-NMR技術開発
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20K15319
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Research Institution | National Institute of Advanced Industrial Science and Technology |
Principal Investigator |
永島 裕樹 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 材料・化学領域, 研究員 (00828098)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 固体NMR / DNP-NMR / 金属酸化物 / 固体触媒 |
Outline of Annual Research Achievements |
フランスの高磁場固体DNP-NMR装置を利用し、実験を実施する計画だったが、コロナウィルスの状況により、海外出張による実験ができなくなってしまった。このため、研究計画を大幅に変更する必要が生じた。本年度においても国内において研究を進めた。 前年度に作成したパルスシーケンスの欠陥を修正することができ、固体DNP-NMRを利用した四極子核の高分解能測定(MQMAS)が、400MHzの磁場で実施できるようになった。ボールミルを用いた17Oラベルした金属酸化物に本手法を適用できることを確認し、これまで得られなかった金属酸化物の表面上の17O高分解能NMRスペクトルを得ることができ、より詳細な情報を得ることができるようになった。 スピン量子数3/2と5/2以上の核に適したパルスシーケンスの作り分けが完了した。17Oの他にも11B、27Alに関しても金属酸化物を用いて手法のデモンストレーションを達成することができた。 また、分極移動時間を変化させることで得られるスペクトルを変化させることができることを見出した。たとえば、水酸基とその他の酸素の構造では1Hとの距離が大きく異なるため、別々のスペクトルとして観測することが可能である。この方法はスペクトルの編集に役立つ。 課題としてはこれまで観測できなかった信号であるため、信号がどのような構造に対応しているかを特定することである。モデル試料の作成、あるいはDFT計算を利用して観測したスペクトルの解釈を行うことを試みている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
コロナウィルスの状況により海外機関での固体DNP-NMR測定を実施しない方向に計画を変更した。 本年度はパルスシーケンスの修正が完了し、信頼できるDNP-NMRによる四極子核の高分解能測定が可能になった。いくつかの金属酸化物でデモンストレーションを行い、良好な測定結果を得ている。得られた高分解能スペクトルを構造情報に結びつけて、論文として発表する。
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Strategy for Future Research Activity |
これまで解析できなかった金属酸化物表面上の四極子核の高分解能NMRスペクトルが得られるようになったため、今後、多くのアプリケーション先が考えられる。 最終年度は本手法についての検討を論文として発表することに重点を置く。 典型的な金属酸化物の測定事例を論文としてまとめて発表する。また、測定法の原理の詳細についても別途論文にまとめる予定である。 その後、余裕があれば測定法の更なる改良を実施したい。
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Causes of Carryover |
コロナの状況で海外での実験が中止になり、大幅に計画を変更したため、次年度使用額が生じている。 2022年度では、本申請内容に関係するDNP-NMR実験の必要経費に使用する計画である。また、核スピンダイナミクスのシミュレーションや、DFT計算を加速させるために、PCやワークステーションを購入予定である。ポスドクを雇用予定であり、本申請内容にエフォートを割ける場合は人件費として支出予定である。
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